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163 :名無しの紳士提督:2014/08/31(日) 19 35 49 ID Y8Xw.KMU 「いいよー。入って。わたし個室だから遠慮することないし」 「お、お邪魔します…」 夜更けの駆逐艦寮。亜麻色の髪の、どこか漠然とした表情の少女――『島風』に割り当てられた私室に招待されたのは、やや緊張した面持ちのどこか古風な銀髪の少女――『天津風』。 ベッドの他にはさして目立つ飾りも見当たらない簡素な部屋に二人で入り、ドアが閉まりきらないうちからさっさと服を脱ぎ始めた島風を見て、天津風は今更胸が大きく高鳴るのを感じていた。 「あまちゃんもはやく脱いでー。汚れちゃわないよう、ハダカ同士が一番いいよ」 「ぜかまし…ほんとに、するの?」 立ったままで特徴的なZ旗黒パンツから自慢の美脚を抜き、やがて床に脱ぎ捨てた島風がこんどは天津風の衣服に手をかける。 まるで一緒に風呂でも入ろうかという気軽さだが、ことはそうではない。もっと重大で、もっと仲良くなれること――を、しようというのである。これから、二人で。 そしてそのための驚異的な準備を、二人は既に終えていた。 「ね。男の子とこんなのしたことある?」 未成熟な裸身を、友人の匂いのするシングルベッドに横たえた天津風は、同じ格好で覆いかぶさるように四つん這いになった島風の問いにふるふると首を横にふった。 合わせられる唇。少女から女になりかけた時期の、独特の甘さをもった二人の裸身が、重なる。 「じゃあ島風が一番、だね」 「ぜかましは……あるの?」 「ないよ」 だからあまちゃんも一番だね、とニヤリと特徴的な笑みを浮かべた島風は、ぎゅっと天津風の脚の間の『第三砲塔』を握った。 「!」 未知の感覚に、天津風の表情が羞恥と不安に染まる。 今日はいっぱい撃たせてあげるからねー、と同じものを装備した島風は、いつもと変わらない口調で言った。 ――仲良くなりたいんだよ。 一緒に秘密の遊びしようよ。 そう島風に強引に誘われて、流された結果。 工作艦『明石』を二人掛かりで散々に酔わせ、その状態で秘密に特別に増設してもらった単装砲――その特殊過ぎる準備をもって、今二人は本当にベッドの上にいた。 164 :名無しの紳士提督:2014/08/31(日) 19 39 34 ID Y8Xw.KMU 「あまちゃんて身体あったかいねー、気持ちいい」 島風がすりすりと天津風にハダカの全身をこすりあわせてくる。 ふにふにと胸の先端が重なり、思わず声が上がる天津風。しかしそれよりも―― 互いの股間の砲が軽く接触し、絡むたびに与えられる奇妙な切なさに、溜息のような吐息が天津風の唇から漏れる。 「ふふん。もう感じてるのか、あまちゃんは」 挑発的な口調で言いながら天津風の砲を再び握った島風の表情もしかしわずかに紅潮し、股間の砲は最大仰角でいきり立っている。 「はあ……はあ……じ、自分だって……!こ、これはどういうことよ……!」 天津風の手が、逆に島風の砲に触れる。 一瞬驚いた表情になった島風は、淫靡に笑って天津風のそれを上下に刺激し始めた。 与えられる未知の快感に喘ぎながらも、天津風は上に重なった島風のそれを同じ動きで反撃する。 「うっ……あ、はぁ……」 「ん…だめ、もう……」 相手の行為に高ぶっていく気持ちが、互いに相手を責める。 まるで互いにひとつになって自慰を行うようなその行為は、止めることなどできない快感を伴っていて。 「…うあっ!な、なんか出る……っ!」 「やあぁぁあぁん!きゃはぁぁぁっ!」 やがて駆逐艦・島風と駆逐艦・天津風の第三砲頭は、同時に初弾を放った。 165 :名無しの紳士提督:2014/08/31(日) 19 40 23 ID Y8Xw.KMU 「ふっふーん。さて、わたしにどうしてほしい?なんでもするよ」 「…どうして……って……」 足を開いた形でベッドに寝転び、排熱も収まらず硝煙の匂いも真新しい天津風の砲頭を見つめる島風。 その積極性に終始押されっぱなしの天津風は、次の言葉が見当たらない。 気持ちいいには、気持ちいいけど――。 「そうだ。こっちと一緒に触ってみようか?」 いいことを思いついた、と言わんばかりの表情を浮かべた島風の左手が再び砲を掴む。 ひっ、と軽い悲鳴に似た声を上げた天津風の、その砲塔の下――既にとろとろに濡れた天津風の『女』の部分に、島風の右手が触れた。 「やぁぁぁっ!!い、一緒に…しないでぇ……!」 左手が、屹立した砲を上下にこしこしと扱く。 右手が、濡れた秘唇に中指をじゅぽじゅぽと抽送する。 「お、…おかしくなるよう…っ!やめて、ぜかまし、それやめてぇぇぇっ!!ああああああんッ!!!」 通常の二倍の快楽――いや相乗して十倍とも百倍とも感じとれるような快楽が、やがて天津風の『女』のほうを到達に導いた。 「おぉー。あまちゃん、すっごい気持ちよさそうだねぇ」 声にならない声を上げながら、びくん、びくん、と全身ごと震わせる天津風の秘唇から、中指を抜き去ると。 島風は天津風と逆向きに倒れ、何を思ったか両脚を伸ばしてきた。 自分の性器までも露出するのは、一切お構いなしだ。 「こっちは足でヤられるのが好きな男子もいるときいた。どう?」 「ぅぁ……ごわごわしてて、へ、変な感じだよ……」 つるつるの両脚の裏が自分のを挟みあげしごきあげるそのじれったいような感覚に、よじるように船体を揺らす天津風。 あれ、ストッキングが要るんだったかな、などと呟きながらしばらく足指でそれを玩んでいた島風がふと止めて、天津風を見下ろす形でベッドに膝立ちになった。 166 :名無しの紳士提督:2014/08/31(日) 19 41 05 ID Y8Xw.KMU 「ね。挿れてみていい?」 「ええっ?!だ、だって……ぜかまし、初めてなんでしょ……?いいの?」 「いいよ。女の子は数に入らないってコトで。ってか、あまちゃんなら全然、いいし」 あわあわしている天津風の砲を、にやにやと笑いながらお構いなしにつまみあげ、上から腰を下ろす島風。 「…っく……えぇいっ!」 かなり狭くてキツい感触に、互いにぎゅうぎゅうに擦られながらも、島風は痛みをこらえ全体重をかけて一気に飲み込んだ。 「ふあぁぁっ!」 「入ったぁ……凄く熱いよ、コレ…あっつくて、気持ちい…」 快感に悶える天津風の砲を艦内に受け入れて、接続したまま揺れ始める島風が小さくため息をつく。 「……ふふふ。かわいいなぁ、あまちゃんは。もうちょっと動いてみよ……っと……ん……」 「ふっ、うあっ、あぁん、ぜかまし……ちょっ…と、もう……」 積極的に小さな腰を揺らす島風の下で、股間の砲から伝わる未知の感覚に、同じ高速型駆逐艦と接続する背徳感に、天津風は一気に高みへと昇り上げられる。 「あ……だめ、もう…もう、撃っちゃうよ、中に……っ」 「いいよ」 「いい…って、ああ…っ、あっ、あああああああっ!」 ぴったりと身体をくっつけて、小さな乳房を自分の乳房に擦り付けられた瞬間―― 島風を持ち上げるかのように反り返り、びくびくと勝手に震える身体。先端から腰に、背中に、全身に伝わる痺れるような快感。――轟音。 駆逐艦・天津風の第三砲塔は、友軍艦の艦内に向け、その砲弾を幾度も発射した。 甘い香りの風が吹き抜け、ぎゅっと瞑った眼の奥に、ちかちかとした光が何度も瞬くような夢想を彼女は覚えた。 「ふー。あー凄かった。楽しかったー」 「………」 全裸でベッドに腰掛けたまま、満足そうに手足を伸ばした島風とは対照的に、隣に転がって肩で息をする天津風は応える体力もない。 「……なんで…こんなこと…思いついたの……?」 「べつに。仲良くなりたかったからだよ。もっと、もーっと」 貴方は私の最初の、大好きな『お友達』だし。そう言って屈託のない笑みを浮かべた島風の顔を、天津風は複雑な表情で見返していた。 キモチは嬉しい。嬉しくないワケがない。不快だった――訳でもない。 気持ち良かった。多少、不本意ながら。 「……もういっかい、やる?」 「……えぇっと……」 こんな実験みたいな責めを相手に体力がどこまで持つだろう。そう思いながらも逆らえず、島風の望むままに再び押し倒される天津風であった。 甘い夜はまだ、始まったばかり。 +後書き 167 :名無しの紳士提督:2014/08/31(日) 19 41 55 ID Y8Xw.KMU 以上苦手な方には失礼しました そろそろ新世界の扉を開きたい今日このごろ これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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──雨が降っている いつものように物静かに職務に励む時雨の横顔を見る。 そして先日の戦いの後、扶桑から言われた言葉を思い出していた。 「ふふっ…まるで西村艦隊の時のことを思い出すわね」 どこか楽しそうでいて、それで悲しげな声で扶桑がつぶやく。 「……お姉さま」 妹の山城の心配そうな言葉に扶桑は微笑んだ。 「大丈夫よ山城、今はあの時とは違う……そう、きっと」 「そうそう 暗くなっちゃダメだよ! 『あの時』とは全然違うんだからさ!」 航空巡洋艦、最上が明るく励ます。 「最上の言うとおりだ、今度こそ貴様らを守りきってみせるさ」 そう言って不敵に笑う重巡洋艦那智。 「ふんっ!どーだか…」 と憎まれ口を叩きつつも自信に満ちた表情の駆逐艦満潮 そう、『あの時』とは違うのだ。 艦娘として転生した今、扶桑と山城は近代回収を行って速度以外の全面はほかの戦艦と遜色ない性能を誇る。 それは最上、那智、満潮、そしてまだ言葉を発していない時雨も同様だ。 なにより補給も整備も万全であり、戦況もあんな絶望的な状況ではない。 あの運命の『スリガオ海峡』に突入した時とは── この編成になったのは最初は偶然であった。 今回主力艦隊への突入に必要な火力を持つ戦艦と重巡、そして対潜警戒と先陣を担う駆逐艦。 索敵に必要な航空機を6隻中4隻が使用できる、というところで候補に残ったのがこの6隻だったのだ。 だが出発前日になり、艦隊の編成を見ていた俺は慌てて彼女たちを集めて謝罪した。 よりにもよって彼女たちのトラウマを蘇らしかねない編成にしてしまったことを。 だが全員の力強い言葉で再編成の件はやんわりと却下され、今に至る。 「偵察機より『敵発見』の打電あり!」 最上の報告に6人の顔に緊張が走る。 「戦艦ル級三隻! 重巡リ級一隻! 駆逐ニ級2隻!!」 「数はこちらと同じ……ですが──」 そこで言葉を切り、扶桑は全軍に命令を下す。 「右舷敵艦隊に対し単縦陣形で砲雷撃戦用意してください!」 凛とした声で命じる扶桑の指示に素早く陣形を整える。 索敵能力はこちらが上。その僅かな時間で陣形を組み直し未だ陣形を組む直しつつある敵に向かって航行を始める。 やがて徐々に敵の姿が見えてくる。 「主砲、副砲、打てー!!」 改修によって乗せられた46cm三連装砲が火を吹く。 「初段着弾を確認、射角修正しつつ第二射はじめ!! 目標、敵意右翼戦艦ル級!」 陣形を保ちながら距離を詰めつつ、最上と那智も砲撃を開始する。 4隻の集中砲撃を受けたル級はたちまち大破炎上、そこに満潮から放たれた魚雷が炸裂し轟沈する。 「手を休めないで! くっ!!」 「お姉さま!?」 残るル級2隻の砲撃で扶桑が小破、しかし── 「継戦に問題はありません、各艦手を休めないで!」 甲板部に被弾したものの損害は軽微、改修済みの強固な装甲は敵の砲撃を簡単には通さない。 「敵は右舷だ!しっかり狙え!!」 「撃てェ!」 続けて那智と最上の砲撃が敵駆逐艦に命中、轟沈する。 「あと4隻ですが、手強い…!」 山城の砲撃は敵重巡を捉え火災を発生させるが、それをものともせずに撃ち返してくる。 まだ向こうには戦艦2隻が健在であり、戦闘は膠着状態に陥りつつあった。 「そろそろ……かな」 時雨の言葉と同時に快晴だった空から突如猛烈なスコールが両艦隊を包み込む。 それはほんの一瞬、だが双方の時間が確実に止まった。 「お待たせしマシタ! 支援艦隊の到着ネー!!」 「! 来たか!!」 スコール上がりの水平線にうっすらと姿を現した金剛たち高速支援艦隊の姿に、那智が快心の笑みを浮かべる。 完全に劣勢に立った敵艦隊は即逃走に移ろうとする、が 「──キミたちには失望したよ」 いつの間にか突出した時雨から放たれた酸素魚雷が先頭を航行中のル級に全弾直撃、航行機能を完全に奪う 先頭を航行していた艦の停止は後続に大混乱を産む そこに集中砲撃と魚雷が放たれ、勝敗は決した。 「よくやってくれた」 帰ってきた艦隊を出迎える。 「ふっ…勝って兜の緒を、と言いたいところだが。それでもこのような快勝には胸が踊るな」 「ふふ……そうね、悪くないわ」 笑い合う那智と山城を横目に見ながら 「ふん、私は一足先にドッグに行ってくるわ!」 照れ隠しだろうか、いつもは入るのを嫌がることが多いドッグに向かって大股で歩いてゆく満潮。 「あ、待って待って!ボクも行く、一緒に行こうよー!」 追いかけていく最上を微笑みながら見送りつつ扶桑が振り返る。 「今日のMVPは時雨かしらね」 「そうね、あの一撃で完全に相手の勢いが止まったわけですし」 同意する山城、だが当の時雨は 「この勝利、僕の力なんて些細なものさ。あの雨と…そう、提督のおかげだよ」 そう微笑むと静かに執務室に歩いて行った。 先程と違い、複雑な表情でこちらを見る扶桑。 「提督、お願いがあるのですが……」 「ん?」 「時雨のこと、ですか?姉さま」 「ええ…提督は私たちの昔のこと、ご存知でしょう?」 「大体は……な」 彼女たち『西村艦隊(ただし、那智は違うが)』は絶望的な戦力さを誇る敵軍の待ち受ける場所に突入し 時雨を残して全滅したという。 「それでも私と山城は良かったと思うんです……戦艦としての本懐は遂げたのですから それにまは提督のおかげでこうしてまた海を駆ける喜びを感じることができる」 欠陥戦艦としてのレッテルを貼られ、それでも戦場で壮絶な最期を遂げた扶桑と山城。 もちろん彼女たちだけではない、ここにいる艦娘はほとんどが戦場で散っている。 そして逆に生き残った艦は極少数だ 例えば不死鳥と呼ばれた響、 彼女には今、暁たち姉妹がいてくれる。 最後こそ名前を変えたものの、今は昔と同じ姉妹たちが隣で微笑んでくれる。 そして雪風、彼女は時に死神とも呼ばれながら生き残り 折れそうになる心を異国の地で与えられた役割と暖かな眼差しに囲まれ艦歴を全うした。 彼女が今、明るく振る舞えるのは間違いなく異国での生活のおかげだろう。 では時雨は──? 時雨は最後まで生き残ったわけではなかった。 何度も自艦隊の全滅をその目に刻み、そしてその後悔と仲間たちへの無念をそのまま抱え沈んだような それが今の時雨を形成しているような気がする。 「いつも見ていて思うんです、あの子は艦娘になった今でも死に場所を探しているんじゃないだろうかって」 艦娘になったここには扶桑も山城もいる。 だが絶対に忘れないと誓った当時の記憶は今でも時雨を苛んでいる。 扶桑や山城からすれば、そんな時雨を見ているのは辛いのだろう。 「ですから提督、時雨に優しくしてあげてください」 「私からもお願いするわ」 扶桑と山城を那智は黙って見ている。 彼女は彼女で酔った時に最上の名を出して泣き出すことがあったりする。 やはり全部が全部吹っ切れるわけはないのだ。 だが、それでも時雨がかつて負った傷は深い。 そう、扶桑は言っている気がする。 「ああ、わかった」 その言葉に満足したように扶桑たちは微笑み、ドッグの方へ消えてった。 ───「いい雨だね」 時雨の呟きで我に返る。 今夜の雨は静かに夜の静寂を打ち消し それでいて何かを包み込みこんでくれる暖かさを持っている。 シトシトと降る雨に時雨もそんな感想を抱いたのだろうか。 書類の作成がひと段落したようだ、時雨は窓に近づき外を見る。 「そういえば今日の戦い、金剛達の到着直前にも雨が降ったと言っていたな」 「うん、そのおかげで敵はみんなの接近に気づかなかった……運が良かったんだね」 「そうか、案外それも時雨の力だったりしてな?」 「あはは、僕にそんな力はないよ。ただの偶然さ」 こちらの言った冗談に微笑みながら答える時雨。 再び外を見つめる時雨。 その姿は本当に儚げで、目をつぶったら次の瞬間に消えてしまいそうで…… 「提督?」 時雨の横に立って外を見つめると不思議そうな声をかけてくる? 「提督も雨が好きだったかな?」 「いや、特別好きなわけじゃないが時雨と見る雨は好きかな」 「あはは、それってまるで僕を口説いてるみたいだよ?」 おかしそうに笑う時雨。 (それも悪くないかと思ってるんだけどな) 思わず口の中で小さく呟いた言葉は時雨に聞かれてしまったようだ。 「提督……僕だって女なんだ。あんまりそういう冗談を言うのはやめたほうがいいと思うな」 少し顔を赤くした時雨が抗議の声を上げる。 「あながち冗談というわけでもないんだけど、な」 最初に抱いたのは微かな同情心だったのかもしれない。 だがそれは時間を経るごとに一首の庇護欲のようなものへと変わった。 ──この娘を守りたい── 一人で負の記憶を抱え込んだまま、それでもなお静かに微笑み続ける少女。 やがてそれが愛情へと変わってゆくことに気づくのにそう時間はかからなかった。 だが、触れたら壊れてしまいそうな雰囲気を持つ彼女に どうしても踏み込む勇気が出なかった。 「え?」と怪訝な表情で聞き返す時雨。 今なら、雨の音がこの場を包み込んでまるで切り取られた空間にいるような錯覚をしてしまう今なら 「俺は時雨のことが好きだぞ」 「っ!……どうして?」 動揺をを隠すように聞いてくる時雨。 「同情心や庇護欲ではないことは確かだ、少なくとも今はな。 理由を聞かれてもいつの間にか、としか言えないかな」 そういって時雨を見るとこちらから視線を逸らしながら呟く。 「はは……困ったな。提督からそんな言葉を聞くなんて……まるで想像もしてなかった」 それはそうかもしれない、賑やかな艦隊の中で様々な艦娘とワイワイしているのを 彼女はいつも静かに微笑んで見つめているだけだったのだから。 「時雨は……俺のことが嫌いかな」 「そ…そんなわけ!……ないじゃないか」 珍しく慌てて否定する。 「急に言われたらきっと僕じゃなくても驚くよ。でもなんで今?」 「本当はもっと早く言いたかったけど勇気が出なかった。 今言えたのはそうだな……この雨のおかげかな?」 「ふふっ……僕の台詞を取るなんてずるいよ?」 そう言いながらこちらを向く彼女を優しく抱き寄せると時雨は全く抵抗せずにこちらの胸に収まる。 「提督は優しいから……きっと他の娘と一緒になるんだろうなって思ってた」 「え?」 「提督のことを好きな娘はたくさんいるんだよ、でもそれでもいいと思ってたんだ」 「なんで?」 「僕にはそんな資格がないと思ってたから、それに幸せになったりしたらきっと昔のことを忘れてしまう。 『あの時』の扶桑や山城、それだけじゃない。僕の目の前で沈んでいった娘や人たち。 そのことを忘れてしまいそうで怖かったんだ」 わずかに時雨の体が震える、それがきっと彼女の本心だったのだろう。 「……扶桑から言われたんだ『時雨に優しくしてください』って」 「え……?」 「扶桑だけじゃない山城も、そしてきっと他のみんなもそう思ってる」 「………」 「昔のことを忘れろ、なんて言わない。昔のことも含めて全て、それを持った時雨と一緒にいたい……ダメか?」 「ダメなわけ……ないじゃないか。僕もさ……みんなと……提督とずっと一緒にいたい」 少し潤んだ綺麗な瞳を見つめながら顔を近づける、と時雨も理解したのか瞳を閉じて顔を上に向ける。 唇が重なった瞬間一瞬だけ時雨の体が震え、そして力が抜けていく。 顔を離し目を開けると、そこには少し頬を赤らめたままこちらを見て微笑む時雨がいた。 「ふふ、僕がこんなことするなんて……全然想像したこともなかった」 その顔にドキリとしつつさらに強く抱きしめるのだが…… 「あ、あのさ提督……なにか……当たってるんだけど」 「うっ……! し、仕方ないだろう」 「もしかして興奮してるの?」 さらに時雨が笑顔のまま追撃をはなつ。 「提督はロリコンなんだね」 確かに時雨は駆逐艦としては大人っぽいが、それでもこちらと見た目の差異だけ見ればそう呼ばれても反論できない。 「わ、悪いか!?」 「あはは、ごめん。でも嬉しいよ。ちゃんと僕のこと女としてみてくれてるんだって思えるから」 そういいながらおずおずとこちらの背中に手を回し、体を密着させてくる時雨。 「提督がしたいなら……いいよ。僕も提督のことを感じたい」 「……時雨」 執務室に転がっている布団に時雨を優しく寝かせる。 時雨の目に不安は感じられず、こちらを信じきった眼差しを向けてくる。 頬に口づけながら、体を優しく撫でてゆく。 体の緊張を和らげるように、壊れそうな華奢な体を壊さないように。 太ももに触れるとしっかりと女の子らしさを主張する柔らかな感触が手に返ってくる。 多少は緊張がほぐれてきたのか、息の中に多少甘い声が交じりはじめる。 「時雨」 と優しく声をかけてやると目を開き、片手を掴んで自分の頬に持ってゆく時雨。 「提督の手は暖かいね……うん、大丈夫だから続けて」 時雨の服をゆっくりとぬがせるとスレンダーで白く、美しい肌があらわになる。 「や、やっぱり少し……恥ずかしいかな」 照れたように言う時雨に微笑むと再びその体に手を伸ばす。 幸運感の名に恥じず、今日の作戦でも被弾しなかった綺麗な体に手を這わせてゆく。 「……ふぁ……ん……」 優しく胸を揉み、先端を軽く刺激してやるとピクンと体が反応する。 ちゃんと感じてくれていることが嬉しく、何度か同じ箇所を責め時雨の反応を楽しむ。 そしてもう片方の手を次第に息が荒くなってきた時雨の秘所に向かって伸ばす。 「ハァ…ハァ……提督……」 少し不安げな目でそれを見ていた時雨が、下着の上から指が触れた瞬間ビクっとしながら目を閉じる。 少し湿り気のある感覚、それに喜びを覚えつつ下着の上から何度も指を往復させる。 目をギュっとつぶって道の感覚に耐えようとする時雨の頭に優しく手を乗せて撫でてやる。 すると時雨の体から少し力が抜け、手に返ってくる反応が増す。 「……ぁ……んん……はぁ…提督……提督の手は……優しいね」 うっすらと瞳を開けて微笑みながら言ってくれる時雨の言葉が嬉しく。 彼女の体に優しくキスの雨を降らせ、そして秘所を弄っていた手を下着の中に滑り込ませる。 「……! あぁっ…!」 愛液でしっとりと潤んでるそこを直接指ですり上げ、奥から染み出てくる液体を指に絡ませ 時雨の肉眼に擦り付けて軽く刺激してやる。 ビクンと今までで一番大きな反応を見せる時雨の体。 もちろん頭を撫でながら口で他の箇所を優しく刺激するのも忘れない。 控えめな胸や乳首に舌を這わせると、紅潮した身体からしっかりと反応が返ってくる。 (そろそろ大丈夫かな……) と、指を一本彼女の中にゆっくりと挿入していくとビクビクと体が震え、膣内の肉が指を締め付けてくる。 「大丈夫か時雨?」 一旦指の動きを止め、時雨を見る。 はぁはぁと息を切らしながら涙を浮かべた目でこっちを見てコクリと頷く。 下着を半分脱がしたあと、ゆっくりと指を動かしながら彼女の中を慣らしてゆく。 前後だけではなく上下左右に動かしてこれから迎え入れるものが少しでも負担にならないように徐々に拡げてゆく。 その度に時雨の体は跳ね、抑えきれない快感に対する喘ぎ声を上げる。 「……て、提督…ぅ……ンッ…!」 時雨が普段の姿からは想像できない甘い声を漏らすたび、股間に血が集まっていくのがわかる。 指を2本に増やし、多少激しめに出し入れしてやると抑えられた声と反比例して襞肉が指を圧迫するのがはっきりとわかる。 軽く指を曲げて擦ってやると大きく時雨の体が反応する。 そして目をつぶり、布団を掴んで必死に堪える時雨の膣内がギュっと指を締め付け大量の愛液を吐き出す。 「時雨……イったのか?」 「あ…はは……そうみたい……だね」 体からは力が抜け、荒く息を吐きだしている時雨が照れたような表情を浮かべながら微笑む。 その少女らしからぬ色香に思わず唾を飲み込んで見入ってしまう。 「提督……は、その……大丈夫……なのかい?」 正直大丈夫どころではなく、今すぐに覆いかぶさりたいところだ。 必死に理性を保ちつつ 「あ、ああ……その……いいか…時雨?」 「ふふっ……今更確認するなんて提督は律儀だね……でもそういうところ、嫌いじゃない」 そういながらコクリと頷く時雨の前に自身のこれ以上ないくらい怒張したものを取り出す。 ほ、本当に……入るのかな?」 さすがにその大きさに少々怯えた表情を見せる時雨。 「あ、ああ……大丈夫だと……思う」 「そうだね、僕は提督のこと信じてるから。……だからきっと大丈夫だね」 そう言ってくれる時雨の入口に用心深く肉棒を擦り付ける。 「あうっ……さっきと……全然違う感じだ」 柔らかさと硬さを併せ持つ肉棒の感覚に時雨は戸惑いの声を上げる。 「じゃあ、入れるぞ……時雨、できるだけ体の力を抜いてくれ」 「う……ん、あ……あぁっ……入ってくる…!」 先端が徐々に時雨の中に飲み込まれ、ギチギチと締め付けてくる。 ずっと我慢していたそれは、先端を入れただけで発射してしまいそうになるがなんとかこらえる。 「し…時雨……大丈夫か?」 辛そうな顔をしながら健気に頷く時雨の呼吸に合わせ、徐々に中に入ってゆく。 途中の抵抗を躊躇なく突き破ると、プチっという感覚とともに時雨の体が肉棒を締め付け 結合部から血が流れだす。 時雨の硬直が落ち着くのを待ってからさらに用心深く進んでゆくと先端にコツンという感覚が当たる。 「ぜ、全部入ったぞ……時雨」 「はぁっはぁっ……そうみたい……だね」 まだ苦痛の色が強いのだろう、顔をしかめつつなんとか声を搾り出す時雨。 この状態に慣れるまで少し鳴らしておこうかと思ったが 時雨の中がそれを許さないかというかのようにきつい締めつけとともに肉襞が肉棒に絡まり、 その微妙な動きが子宮にあたっている先端を刺激する。 「くっ…! マ、マズイ」 「んっ…はぁ…て、提督……?」 今慌てて抜き出せば時雨の体に苦痛を加えてしまうことを考え躊躇したのが命取りだった。 「ぐっ…!!」 時雨の膣内にビュクビュクと勢いよく白濁液が吐き出される。 「あ…あぁぁぁあっ!!」 突然中に吐き出され、ビクビクと痙攣する時雨。 「す…すまん!時雨!!」 子宮と膣内に納まりきらなかった精液が時雨の中から溢れ出て布団に落ちる。 当の時雨はしばらく呆然としていたが、おもむろに精液を手ですくい取りじーっと眺める。 「これが……提督の子種なんだね。なんだか……雨上がりの匂いがする……ん…に、苦いね…って、……て、提督!?」 匂いを嗅ぎ、舌で指についた精液を軽く舐めて苦い顔をする時雨。 その様子が妙にエロチックで、あっという間に肉棒は硬度を取り戻す。 すぐに硬度を取り戻した肉棒の感覚に戸惑う時雨の腰をつかみ、ゆっくりと動き出す。 「あぁっ…!! あぅん…! 提督っ!!」 思ったとおり締めつけこそ変わらないものの時雨の愛液に加え、精液も潤滑油となった彼女の中は 緊張しきっていた先ほどに比べると格段に動きやすくなっている。 可能なかぎり優しく動きながら肉芽を手で弄ってやると、時雨は声にならない快感の声を上げる。 何度も往復しているうちにようやくスムーズになってきた中を奥につき入れてやると 快感に翻弄された時雨からは喘ぎ声とはっきりとした締めつけが返ってくる。 「あっ…!あっ! …て、提督! 提督!!」 そう言いながらこちらに両手を差し伸べてくる時雨。 「お…お願い……提督……抱き……しめて……」 そういう彼女の体をゆっくりと持ち上げて自分と正対させると体重が自分に加わり、さらに深く時雨の中に入り込む。 背を仰け反らせた時雨が涙を流しながらこちらにしがみついてくる。 その体を強く抱きしめかえしながら時雨に声をかける。 「時雨……どこにも行くな! ……ずっとここにいてくれ!」 そう本音をぶちまける。 怖かったのだ、時雨は気がつけば遠くに行ってしまいそうな、何の根拠もない感覚が。 だからその存在を確かめるために強く抱きしめながら自分という存在を時雨に刻み込む様になんども打ち付ける。 「てい……とくっ! うん……僕は……ぅン! ずっと……ここにいるか……ら……!」 激しい突き上げに息を切らしつつ、時雨はしっかりとこちらを抱きしめながら答えてくれた。 それで十分だった。 何度も何度も突き上げ、子宮の奥にゴリゴリと鈴口を押し付けながらさらに時雨の唇を塞ぐ。 舌を入れてやると遠慮がちに時雨の舌が絡みつく。 時雨の腕と足がこちらを離さないとでも言うかのように絡みつくのを嬉しく感じながら さらに彼女の中を突き上げる。 グチャグチャと血と精液と愛液の混じったピンクの泡が結合部を包み込み ゾクゾクと射精の予感が背を駆け上ってくる。 それに耐えるように激しく子宮と突くと一際きつい締めつけが肉棒を締め上げる 「クッ…時雨! 出る!!」 「ぼ、僕も……もうっ…提督───ッ!!」 再び時雨の奥に先ほどを遥かに凌駕する量の白濁液位が流し込まれる。 入りきらない精液が再び結合部から流れ出すが そんなことは関係ないとばかりに時雨の膣内が肉棒を一滴たりとも残すまいと締め上げ ビクンビクンと痙攣しながらドクドクと次から次へと精液が吐き出されていく。 その感触を時雨は心地よい気持ちで背を仰け反らせながら受け止めていた。 やがて長い射精が終わり、糸が切れたようにこちらに倒れこんでくる時雨。 慌てて受け止め、時雨を見ると珍しく真っ赤な顔で俯いている。 「……時雨?」 「は、はは……その…終わってしまうと、なんていうか恥ずかしいな」 あれだけ乱れたのだから、我に返って恥ずかしがるのも当然かもしれない。 ただ、普段超然としている時雨のそんな素顔が妙に可愛らしく。 悪戯っぽく言ってやる。 「そうか……でもすごく可愛かったぞ?時雨」 「か、可愛いって……そんな風に面と向かって言わないでよ。は……恥ずかしいじゃないか」 顔を真っ赤にしたまま胸に顔を埋めた時雨が口を開く。 「提督……僕はここにいていいんだよね?」 「当たり前だ、さっきも言っただろう? ずっとそばにいてくれって」 そう言いつつ、華奢な体を強く抱きしめる。 「うん……なら僕はずっと……」 そう言いながら顔を上げた時雨は── 「僕はずっと提督の……そしてみんなのそばにいるね」 今まで見たことのないくらい眩しい、満面の笑顔を向けてくれた。 ───雨はいつの間にか上がっていた
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428 名前:2-683[sage] 投稿日:2015/03/13(金) 13 07 12 ID zciMEekA 「のわきー! しょるいおわったから遊んでくるね!」 流石です司令。 身の丈に合っていない椅子から飛び降りるように立ち上がった司令は、年相応に駆けて執務室を出て行った。 目で追ったあの背丈も背中も肩幅も、この鎮守府のどの駆逐艦にも及ばない小さな体躯であるのに、 働きぶりは立派なものだとつくづく舌を巻く。 と言っても流石に執務を全てあの司令が一人で背負っているわけではないのだけれど、 それでも肉体年齢としてはまだ未熟というハンデがあるために、あの司令を見くびる艦は一隻とて存在していない。 物思いに耽るのも程々に、一先ずは自身に残る責務を果たすためペンを握り直した。 あの司令の父は昔からの持病を理由に椅子を子息に譲って早くに退役したが、 書類上ではそのようなことにはなっていない。 つまり、上層部には報告せずこのような環境になった。 ただし完全に隠居に入ったわけではなく、治療の傍らに裏から子息を補佐することもあるらしい。 全ての艦を一堂に会して退役を知らせた、 皺が出来始めた顔で申し訳なさそうな念を漂わせたあのときの様子は今でも憶えている。 うまく鎮守府を動かしてきた人ゆえに残念であったが、同時に初めて失望も覚えた。 命のやり取りがついて回る軍に子供を置くなんて、と誰もが考えただろう。 "前"のときも、そして今もこのような事例は聞いたことがない。 だがその失望に包まれたのも僅かな間だけだった。 「……ん? 司令、野分に何かお求めですか?」 庁舎の壁に向かって野球ボールを投げている司令をベンチから遠目で眺めていると、 不意に司令はそれを中断してこちらに駆け寄ってきた。 私の名前の由来には及ばない程度の風が司令の軍帽を吹き飛ばそうとし、 司令はその軍帽をグローブを持っていない方の利き手で抑えている。 「遊んでたらおなか空いたよう」 「ではおやつにしましょう。今日は何がいいですか?」 「のわきの作るものならなんでもいい!」 幼くして感情のままに他者を喜ばせるとは、流石です司令。 その無垢で快活な笑顔を見せられてしまうと、戦いのことなど忘れてお菓子作りに耽ってしまうではないですか。 「おんぶー」 背中を向けて屈んであげると、司令は迷いなく私に乗艦した。 難なく立ち上がる。私が艦である以上、人の子一人乗せるなど何の苦もない。 ないのですが。 「重くなりましたねえ司令」 「えー? メタボリック、シンドローム、なのかなあ?」 「そういう意味ではないですよ」 そんな言葉まで知っているとは流石です。 司令の体調管理は司令のお父上やこの鎮守府の艦が気遣っていますから、司令が言っているようなことはありません。 人の子の成長は早いことを実感しながら私は庁舎へ戻った。 「司令、"野分"の言葉の意味ってご存知ですか?」 「ううん、知らない。どういういみなの?」 「お父上に聞いてみるといいですよ」 この司令は、何事も吸収が早かった。 人の子とは総じて頭が柔らかいらしく、 退役を宣言してからも指導のために残った父を迅速に病魔の撃沈へ専念させた。 執務も艦隊指揮もまともにできるようになってしまった司令を、そうさせた父を、誰が軽蔑し続けようか。 それでもそれは与えられた知識の範囲内での話で、逆に知っている必要のない古い言葉は知らないようだ。 この司令はあくまでも、この鎮守府をあたかも父が運営しているように周囲に誤解させるために仕立てられたのだ。 大人の勝手な都合で島流しの憂き目にあった司令は、やはりまだ子供なのだ。 自分勝手だとは思うがそれでも。 子息を成熟していないうちから利用してしまう事になってしまうが危険に晒されないよう努める、と、 赤の他人が後続の司令になって今まで守ってきた伝統やら采配やらを失うよりはいい、と。 諦めの感情から垣間見せる責任感を伴う顔で説得されてしまって私は折れたのだ。 この鎮守府の伝統や采配その他諸々は気に入っていたため、あの元司令を認めてしまった。 仕方ないですねえ。と。 「のわきのホットケーキおいしい~」 「……ありがとうございます」 これでよかったのか否かと私が自問自答に駆られていることなど露知らず、 口の周りがシロップで汚れることも気にせず顔を綻ばせる司令を見ると、私の悩みも幾分か薄れてしまう。 この司令が嫌がっていないのだから、私たちがすべきことはこの司令を守るだけだな、と、 思考停止のようでありながらすとんと私の腹に落ち着いてしまったのだから申し分ない。 すかさずちり紙で司令の口元を拭うのも秘書である私の責務だ。 「のわきはにゅうきょしてね」 普段よりほんの少しだけ引き締まった、恐らく引き締まっている顔の司令を、艦隊皆の艦が一斉に見下ろしている。 最早慣れたものですが、世間一般的には異様な光景に写ることでしょう。 「おおがたかんのみんなは多少のひだんはガマンできるけど、こがたかんはそういうわけにもいかないから。 もう少しきかんを守れるようにがんばってほしい」 私の随伴艦を務めた大型艦一同は静かに頷いた。 "前"のときの戦法ではむしろ逆ではあるのですが、 過去に囚われすぎるのはよくないという元司令の言い分に皆納得しているために誰も何も言わない。 口だけでなく実際にこの戦法で充分な戦果を挙げているのだから、元司令の功績と影響力はただならぬものだ。 そうして元司令の戦法をそのまま受け継ぐこの司令もまた、皆から信頼されている。 「のわきももう少しかいひできるようになろうね」 「はい、精進致します……」 この鎮守府にいるほとんどの艦はこの司令の父がまだ帽子を被っていた頃から訓練を重ねている。 かくいう私もその多くのうちの一隻で、練度もそれなりに良いものであると自負していたが、買い被りだった。 司令から率直にこう指摘されてしまってはまだまだだ。 己の顔の筋肉が今どうなっているかも自覚する余裕もないままに、司令は解散命令を出した。 今日の出撃はこれにて終わった。 私の場合は入渠してから司令の執務を手伝い、艤装の点検などを経て眠りにつく。 艦隊の皆がこの執務室から立ち去り、さて私もドックへ赴こうと踵を返した直後。 「のわき。少し話があるから。ごめんね」 いえいえ。 司令のお話とあらば水底に沈もうが受け入れるために這い上がって参る所存です。 私のことは気にせずなんなりとどうぞ。 司令は机の椅子にも座ろうとせず、その場に佇んで口を開いた。 この執務室が、今はやけに広々と感じる。 見た目以上に人口密度が低く感じ、司令との遠近感がいささか過剰なまでに大きい感覚を覚えるのは何故だろうか。 年相応な普段の活発さが鳴りを潜めたような、はたまた借りてきた猫のような、 そんな諺を思い起こさせる程に軍帽の唾に目を伏せて鎮守府に取り残されたように佇む司令が原因だろうか。 「のわき。ぼくのやっていることは正しいのかな? みんな、ぼくをわるく思っていないかな?」 いきなり何を言い出すんですか、司令は。 司令が執り行う采配は、司令のお父上から見事に受け継いだ立派なものではないですか。 あの元司令も、今の司令にも、誰も歯向かう輩はいません。 日頃から"流石です"などと口癖とも疑うほど司令を褒め称える私ですけど、 それは別に司令をおだてて言っているわけではないのです。 心から出た感想を飾らずそのまま述べているだけなのです。 「逆に聞きますが司令。司令はこんなことをさせるあなたのお父上を恨んでいますか?」 「ううん。お父さんは体が弱いし、ここのみんなも大事だから。どうして?」 この司令がこうして重い責務をしっかりと認識した上で背負っているのもまた、 年相応な感情から来る動機が原動力なのだろう。 駆逐艦である私でさえ見下ろす小さな体躯の少年に心配をかけてしまうなど、私たちは、あの元司令は、情けない。 しかし、元司令や司令の采配があって私たちはやっと敵に立ち向かえるのだ。 逆に司令の運命を捻じ曲げたであろう元司令や私たちを恨んでいないか心配だったが、杞憂のものだったようだ。 私は安堵し、次いで司令も安堵させるために、司令の低い目線と自身の目線を合わせるために私は屈む。 さっきまでの艦隊の皆を叱っていた司令の顔はどこへ行ったんでしょうね? 「私たちはあなたのお父上を慕っていましたし、そのご子息である司令もまた慕っています。何も心配はいりません。 恥ずかしいのか誰も口には出しませんが、今の司令がいるこの鎮守府で生かされて、皆幸せに思っていますよ」 「ほんと?」 …………。 「のわき?」 「はっ……。本当ですよ。ええ、本当です」 司令。 即答できなかった野分をお許し下さい。 司令の疑問への返答は一寸の偽りもないのですが、違うのです。 恥ずかしながら野分は不安げな顔でこちらを見上げる司令に見蕩れてしまいました。 司令は大真面目に私たちのことを考えてくれているのに真面目にならず変なことにうつつを抜かす私をお許し下さい。 それでも司令の精神状態の荒波を無くすためと我に返れば、 時間をかけずに索敵するよりも素早く言葉を組み立てることができるのです。 「司令のような子に戦争へ協力して貰わなければならない点は私たちが間違っているでしょう。 ですが、司令が私たちにしていることに何一つとして間違いはありません」 「むっ、司令官をコドモ扱いするならけんぺいさんにおせっきょうしてもらうよ!」 「失礼しました。司令はおしゃまさんですよ」 「それ使い方違うー! 司令官をバカにするのわきなんかドックでしずんじゃえ!」 「はい。司令は大丈夫ですか? 一人で寝られますか?」 「だからコドモ扱いしないでよ!」 自身が手傷を負っていることも忘れて執務室を出た。 自身の扱いがおざなりになるくらい、司令との掛け合いを楽しく、幸せに感じてしまう。 しかし司令のいる空間とは隔絶された廊下に出た途端、溜まっていたであろう疲労が一挙に押し寄せた。 私は扉越しで司令に気づかれることのないように小さく嘆息し、遠い遠いドックを目指した。 433 名前:2-683 山城[sage] 投稿日:2015/03/13(金) 13 10 46 ID zciMEekA 次 「ううっ……、ふこうだわ……」 今自分の目の前で跪いてしまっているこの小さな少女は、戦艦(仮)山城だ。 あるいは戦艦(予定)山城と称しようか。 此奴も艦娘の一隻なのだが、此奴は他の艦とは事情が異なる。 山城の微かな悲鳴で振り返ってみれば、鼻緒が寸断された高下駄が一つ山城の足から別離を遂げてしまっていた。 鼻緒が切れる程山城は建造されてからこの下駄に波瀾万丈な歴史を刻んで来た訳でもなく、 ましてや山城は物を粗雑に扱うような子でもない。 だから自分は今日も唯々この山城を哀れむだけなのだが、自分はそれよりも山城の言葉が気に障った。 「こら。どこでそんな言葉を覚えてきたんだ。全く」 「だってふこうなんだもの……」 自分は屈んで山城を咎めたが、山城は訂正しなかった。 目線を合わせようとしても、幼い為か山城は気付いてはくれず地に視線を落とすばかり。 "不幸"等と言う言葉を教えたのは一体どこのどいつだ? 全くけしからん。 でも山城は常に自分の目の届くところに置いているし。 彼奴でもない此奴でもないと艦の写真付き名簿がモンタージュのように頭の中で次々と切り替わり、 結局絞られた心当たりは名簿ではなく自分の書斎となった。 ……幼くして文学に関心を寄せるのはいいが、短所もある事に気付かされた。 然し時既に遅し。 「嗚呼もういじけない。明石に下駄を直して貰うぞ。ほら」 「……ん」 体を回転させて背中を向けてやると、軽い重みがのし掛かった。 両腕で臀部を支え、転がっている高下駄を拾い上げ、自分らは明石の元へ向かった。 これまた山城に言わせると"不幸"な事に、生憎鼻緒の在庫が切れてしまっているらしい。 鼻緒が切れ在庫も切れ、次は自分の靴紐も切れるのかもしれないなと皮肉った。 勿論心の中でだ。山城の前で明るくない話は避けたい。 暇でもない明石に履物屋へ遣いに行かせるような図太い神経を持ち合わせていない自分は己の足で向かうことにした。 何も非はない明石に申し訳なさそうに在庫切れを告げられて更に落ち込んだ山城を何とかすべく、 自分は肩車で誤魔化す処置を取り、頭上の山城に声をかける。 「どうだ山城。いい眺めだろう」 「うん……!」 肩車とは体重の軽い幼子の特権である。 自分も含め平和な幼少期を謳歌してきた者なら、 今山城が味わっている気分を誰もが共感し懐かしむことができるだろう。 例に漏れずこの山城も戦から隔絶される生活をさせている為、感性はまだまだ健全であったようだ。 自分は安堵した。 行き倒れた幼子のような雰囲気を醸し出し、 あまつさえ突如として"不幸"なる単語を使い出した数十分前は膨大な不安に押し潰されそうになったものだが、 非常に手短な感想を述べる山城の声色には元気が戻ってきていた。 先程の似合わぬ面影がころりと消え失せ、年相応に喜ぶ山城の軽い重みを両肩で感じながら歩みを進める。 机に向かっている時間が多いのと運動が好きではない山城に合わせた行動サイクル故、 こうして散歩がてら出歩くのも貴重な運動だ。 流石に履物屋からも鼻緒を取り上げる程神は鬼ではなかったようだ。 神はあくまでも神である事を信じよう。 山城が気に入った柄の物を幾つか購入できたので、帰路に着く。 交通量が少ない故に舗装されていない田舎道をやはり肩に山城を乗せて歩いてゆく。 遠くが霞んで見えない都会の景色とは全く異なるので、排気ガスの臭いがない。 そしてあの履物屋も海から離れている場所ではないので、慣れた潮風が心地良い。 ……心地良い。少し風が強くなってきたが。 然し私の軍帽は山城が抑えている為に吹き飛ばされる事はない。 はっはっは神め潮風め。海軍の人間をこの程度の風で吹き飛ばす等甘いぞ甘 「いたぁい!」 どうした山城!! 自分は肩車する山城の両脇を両手で抱き、至極慎重に着陸させる。 高下駄のない方の足袋が汚れてしまったが、そこまで意識は回らなかった。 すまん。帰ったら洗濯してやるから、我慢してくれ。 山城は眉を顰めて目を強く瞑っていた。 「目に……すなが……ぐすっ……」 おお神よ。やはり貴方は実は鬼ではないのでしょうか。 舗装されていない田舎道も良い事ばかりではないようだが、それにしてもこれはあんまりだ。 いたいけもないこの少女が一体この地に何をしたと言うのですか。 この少女に涙を浮かべさせる権利が貴方にあると言うのですか。 せめてやるならこのわたくしめを選んで欲しかったです。 待て。山城を肩車した状態で自分の目が潰されてしまっては山城が危険だ。 どちらにせよ神は外道だ。畜生だ。超弩級の畜生だ。超弩級戦艦扶桑も真っ青だ。 「こら擦らない。目パチパチしてみなさい」 神へ反逆する呪詛を頭の中で並べ立てている場合ではなかった。 当然の道理だが山城は瞑った両目のうちの片方を手で擦ろうとしたので、自分はその片手を押さえる。 すまん山城。だがこれもお前を思っての事なんだ。 恨むなら私でなく神を恨んでくれ。 怒りの矛先が私に向けられれば私は死んでしまう。 「……~~!」 山城は瞼を痙攣させながらも、必死に、懸命に、健気に瞬きを行ってくれた。 然し成果は振るわないらしく、幾度も繰り返そうが改善しなかった。 勿論自分は成す術もない。 「……おんぶにするか」 非常に不本意だが諦めの選択を選んだ私は背中を向けて屈んだ。 すると、縋り付くようにやや強めに衝撃が背中を走った。 山城が私の背中にしがみついた事を確認し、自分は打って変わって落ち込んだ調子で歩き出す。 山城は私の背中に横顔を当てている。 未だに瞬きを繰り返しているのだろうか。心配で心配で胸が張り裂けそうだ。 臀部を支える両腕も不調になったようで山城が若干重く感じる。 「すん……、やっぱりふこうだわ……」 「ほらもうそれは言わない」 購入した鼻緒を明石の元へ納品してきた。 何事もなく無事に帰宅――家ではないが――できると言う 自分の期待をあっさり裏切った神への呪詛を頭の中で書き連ねる執務も忘れ、 夕暮れの茜色に染まる執務室の扉を開けた。 いつの間にやら静まり返っていた背中の山城へ声をかける。 「着いたぞ山城」 「…………」 「山城?」 どうした事か返事がない。 もしやと推測し来客用のソファに山城を静かに降ろして顔を確認すると、 山城の瞼は先程とは打って変わって安らかに下ろされていた。 眉を顰めている様子はない。目に入った砂は落ちたのだろうか。 「すー……すー……」 「……やれやれ」 自分は山城が目を覚まさぬよう割れ物を扱う手付きで横にさせ、土で汚れた足袋を静かに傷のない足から抜き取った。 それから眠る山城の横に腰を沈め文庫本を開いた。 まだ夜が来てもいないのにこうして本を開ける程度の執務量だから、山城の世話ができる。 この山城が生まれたのが敵の少ない海域沿岸に建つこの鎮守府でよかった。 その点は不幸でなく間違いなく幸運だった。 そもそも当初は工廠の妖精に戦艦山城を建造するよう命令したのだが、 誕生した姿はこのように特殊なものとなってしまった。 妖精が言うには設計図を元に建造したのに、何らかのミスなのかこのような結果になってしまったとの事。 建造したはいいがどうやらこの山城に戦闘能力は備わっていないらしく、重さで艤装もまともに持てないらしい。 原因を究明し、通常仕様の戦艦山城に改造したいのでその目処が立つまで待って欲しいとお願いされ、 その所為で止む無く私が世話を焼いている訳だ。 然し嫌々やっているわけではない。 幼子の扱い方を知らない当初こそ困ったが、今は違う。 もしかすると実は自分は子煩悩なのではないかと疑う程度には慣れ、寧ろ好んでやるようになってしまった。 何せこの山城、実に手がかかる。 今日も起きたように他の艦と比較して不運な出来事が不自然に多いのだ。 戦とも関わっていないのに、だ。 なので自分は山城が降りかかる不運から逃れるように目の届く場所に居させているのだ。 それなりの苦労はある。 あるが、山城がふとした時に見せてくれる無垢で無邪気な笑顔に自分は撃沈されてしまったのだ。 不甲斐なく不運の雨から完全に山城を守れている訳ではないが、 兎に角、自分はこの山城が笑顔を二度と見せてくれなくなるような事態を避けるために動いているのだ。 そして自分だけでなく他の艦娘共も。 今日の山城の不運によって損じた高下駄も、目を覚ます頃には明石が新品同様の状態にしてくれている筈だ。 音を発しない工廠は、恐らく閑古鳥が止まっているであろう。 暖かな夕暮れの陽と憑き物のない山城の寝息が、私の意識レベルを低下させてゆく。 一旦背伸びして栞を挟んだ本を目前の机に置き、山城が眠り続ける柔らかいソファに改めて体を沈めた。 …………………… ………… …… 「ふぁ……、てーとく?」 「……すぅ」 「……ありがと……」 ちゅ。 440 名前:2-683[sage] 投稿日:2015/03/13(金) 13 21 06 ID zciMEekA 以上! 艦娘と幼馴染の場合の話を書いてみたよ 特に山城については不幸に少しずつ曝され一見性格が暗くなっていくロリ城を提督が語彙を絞るように励ましつつ それでも無邪気さが薄れていくがたまに昔の無垢な面を垣間見せる成長した山城を見たいがなかったので書いた 441 名前:名無しの紳士提督[] 投稿日:2015/03/13(金) 16 55 04 ID SQzCpRz6 GJ! 戦艦娘が小さくなるシチュはよく想像してただけに嬉しいです。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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@Wikiサポートです。 ご連絡いただきありがとうございます。 お問い合わせいただきました件に関しまして、 左メニューの?#endregion?が一つ 不足していただことが確認できました。 該当wiki内の潜水艦の項目に?#endregion?が 不足していた可能性がございましたので、 追加させていただきました。 お手数おかけ致しますが、間違いがございましたら 修正していただきます様よろしくお願い致します。 その他、ご不明点などございましたらお気軽にお問い合わせください。 これからも@Wikiをどうぞよろしくお願いいたします。 このメールは送信専用のメールアドレスです。 メールをご返信いただいてもお答えすることができません。 お問い合わせは以下のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。 ===================== @Wiki(あっとうぃき) URL http //atwiki.jp/ お問い合わせフォーム http //desk.atfreaks.com/form/atwiki/ ===================== お問い合わせ日時 2014-05-19 03 21 58 URL http //www55.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/275.html 本文 2014年5月19日午前三時前、該当ページのメニューを編集し、その編集完了後、該当まとめwikiに不具合が発生 不具合内容 該当まとめwikiにおけるトップページが一部しか表示されない その表示されている一部ページのリンクにアクセスしてもそのページにとべない ログインもできない(ブラウザに表示されるURLはかわる) モバイルwiki表示ではメニューページのみがおかしい模様 ブラウザはクローム、エクスプローラ両方現在最新バージョンにて不具合ページでしかみれません
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38 :6-632:2014/04/19(土) 22 15 19.48 ID 1AcVbCPh では予告の「アレ」を書きます 1.今回は非エロとなります 2.舞台は現在の日本となります。色々と原作クラッシャーです 3.史実部分に関しては細心の注意を払い研究しましたが、異なっていたらごめんなさい ************************************************************************** 俺は、突如出現した「深海棲艦」に対応するため再編された海軍の横須賀鎮守府に勤務している指揮官だ この謎の敵は海上自衛隊の力をもってしても排除できなかった恐ろしい敵だ 俺は現在秘書を務める加賀と新たな赴任地へ移動しているところだ 先日の人事異動で呉鎮守府へ移動となってしまった。 「加賀、どうだ快適か?」 「ええ、とても。でも提督、何で海路ではなく陸路を?」 加賀が首をかしげた。 俺はゆっくりとなぜ「コレ」を移動手段に選択したのかを加賀に語り始めた 「加賀は、“弾丸列車計画”というのを知っているか?」 ふと加賀に尋ねる 「確か、東京から下関を経由して満州に伸びる時速160キロを超える交通手段だった と記憶してるわ。でも顛末は知らない。沈んでしまったから」 昔の記憶を辿るように遠い眼をして答える加賀 「そう、これはその弾丸列車の延長なんだよ。」 「ところで、加賀、桜花は・・・。知らないか」 「ええ」 加賀か間髪入れずに答える。まぁ無理もない桜花が開発されたころ 加賀は冷たい海の中に居たのだから 「桜花は旧海軍が開発した“特別攻撃”用の兵器なんだ。北上やゴーヤが嫌がる“アレ”と同系列だな」 加賀が震えて講義をする 「それが、今何の関係があるのですか!“アレ”が意味する事。提督も割ってるはずで」 俺は加賀の抗議にかぶせるように言う 「この乗り物はな、その桜花を設計してしまい、苦しんだ開発者が開発に絡んでる」 「それに、加賀に搭載してるゼロ戦の開発者や陸軍の通信技師もだ」 加賀は完全におかんむりだった 「では、何故提督はこんな危険な兵器でくつろいでいるのですか!!」 「だからだ、彼らはこの乗り物を設計する時に『もう二度と人殺しはしない この乗り物に乗った人は何があっても死んではならない。絶対に安全なもの作る』 と心に固く誓ってこの乗り物を作ったそうだ。 そして、それらの指揮を執った人物は弾丸列車を夢を持ちつつ、志半ばで散った 者の息子だったという」 加賀は黙って聞いている 「彼らの思いが強かったからは知らないが、大きな地震が直撃し、ボディーマウントしつつも この乗り物は誰も犠牲者を出さなかったと言いう逸話もある」 加賀も頷きながら 「私も、昔は皆を守りたかったから必死に戦った。この子(ゼロ戦)を作った人も 私が居なくなってから、守りたいものを必死に守れる子を作っていたのね」 とつぶやいた 乗り物か軽快な音楽を鳴らす そののち女性の声が流れ始める 『まもなく、広島です。山陽線、呉線、可部線、芸備線はお乗換えです。 今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました。』 もうそろそろ、降りる支度をしなくては 「なぁ、加賀。50年の長い間、地震の直撃を受けてもなお、乗客が一人も死んでないんだ それは、誇れることだろう?桜花をゼロ戦を開発して多くの人を殺したとひどく後悔した彼ら への供養とならないか?」 加賀は冷静さを取り戻し 「そうね、きっと」 それだけ言ってドアを出る。 かつて、戦火の中多くの人の悲しみをこだまさせた技術は 時を経て日本を照らすひかりとなった 1964年からこの国を照らしているひかりは、やがて大きなのぞみとなり この、みずほの国とも呼ばれる日本を照らし続けている。 「なぁ、加賀その・・・。ありがとう。この国を守ってくれて。 そして、これからは深海棲艦の駆逐の為にまた力を貸してほしい」 ぼそっと俺がつぶやく あの戦いを知らない俺が言うのはルール違反かもしれないが・・・。 「抵当。その言葉で十分です」 いつもは表情が硬い加賀もこの時ばかりは満開のさくらのような笑顔を返してきた +後書き 40 :6-632:2014/04/19(土) 22 49 35.22 ID 1AcVbCPh と、いうことで完全自己満足な「アレ」を書きました。 はい、「しまかぜ」の時と同じように「鉄ヲタ提督シリーズ」ですが 多少史実を湾曲させてます 桜花の設計者→0系新幹線の車体をデザインした ゼロ戦の設計者→正確にはゼロ戦の試験飛行中に発生した空中分解事故の原因を特定した人 →脱線事故に対してゼロ戦と同じ原理で発生する可能性を見出し台車につけるバネの改良 陸軍の人→ATC(列車の車間距離などを計算してコントロールする装置)の生みの親(2014年現在ご存命) 特にゼロ戦の人は目の前で海軍航空隊員を事故で亡くし桜花の人は桜花の「アレ」的運用に反対だったので 「新幹線は絶対に安全でなければいけない。もう誰も死なしてはならない」と口を酸っぱくして言っていたそうです。 加賀さんをいチョイスしたのは、わが艦隊一の空母だから・・・。 では乱文失礼しました
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「遅いぞ。…なんだその顔は」 古めかしい板張りに朝の冷気が心地よい、早朝の舞鶴鎮守府内・修練場。 そこから一段降り、弓道場も兼ねた庭場に、飾り気のない簡素な道着を来た艦娘の姿があった。 「…まさか今日、普通に朝練してるとは思わないじゃないの」 油断して寝過ごし、いつもより30分ほど遅れて現れたもう一人の艦娘は、抜身の木刀を一人振るっていた相方に向かって口を尖らせる。 「いつも言っているだろう。私のような弱い人間には、地道に毎日続けるということが大きな心の支えになっているんだ」 「良く言うわー。アンタが弱いってんならここの艦娘はほとんど戦力外だわよ」 「そんなことより早く用意をしろ。素振りばかりでは修練にならない」 手ぬぐいで額の汗を拭いながら板張りに上がってきた日向に背を向け、伊勢は立てかけてある木刀を取る。 「はいはい。…つっても、今日ばっかりはヘタなケガさせるワケにはいかないのよね…」 「なんだと?らしくないことを。遠慮なんかしてくれるな」 「あたしが後で皆に怒られるでしょーが!」 本気で首をかしげる相方に、ため息を付きながら首を振る伊勢。 ――本当にこいつは、今日自分が何をする日なのか分かっているんだろうか? *** 「時間だな。――ありがとうございました」 型通りにぴっと頭を下げるその姿は、美しくないと言ったら嘘になるだろう。 「ありがとうございました。で、今日は遅れる訳には行かないんだからね。きちっと予定開始時刻までに現地に移動しなさいよ」 「分かっている、大丈夫だ。今日は一級主力として、役目をきっちりと果たさせてもらう」 悩む時期はもう過ぎた、と。 気遣うような、やや心配気な表情の相方に向かい、軽く微笑んでそう呟く。 見たことのない表情だ、と伊勢は思った。 「明日の朝も――」 「明日の朝は、アンタは来ないんじゃないかな」 賭けてもいいよ、とにやにやしながら伊勢は言った。 私の話をちゃんと聞いていたのか、と日向は若干むくれて答えた。 *** 高い高い蒼空。 笑顔で祝福してくれる、仲間たち。 幸福と慈愛に満ちた態度でエスコートしてくれる、――愛しい人。 こんな日が来ることを、一体誰が予想しただろうか。 「すごい――綺麗よ、日向。今日の貴女は、間違いなく、世界一美しい軍艦だわ」 そう言われても、なんと答えていいか分からない。柄にもなく頬が熱く、頼りない純白の艤装の奥で、胸が高鳴るのを覚える。 「――美しさと強さを両立した扶桑型の一番艦に誉められるとは、光栄の到りだよ」 いいえ、今日は素直に負けを認めるわ。華のような笑顔でそう答えた彼女は、ブーケ・トスを受けるべく祝福者の輪の中に下っていった。 仲間たちに背を預け、全艦隊の旗艦を務めるかのような錯覚を一瞬、覚えた後―― 慣れない指輪の嵌った手で、彼女はブーケを背後の虚空に放った。 *** 「しかし――物好きだな、キミは。本当に私で良かったのか?」 「何回同じことを言わせる気だい?」 ベッドの中で抱きかかえられる、顔が近い。 かつて、いや、今も上司である人。提督。 私は今日、この人のものになった。 何らの実感はないが、独特の安心感はあった。まずはそれでいいか、ととりあえず日向は思った。 「これ――傷かな?」 肩のあたりの古傷を見つけたらしい。 「あいにくと、誰かに差し上げるつもりなど無かった身体でね」 今さら失望されても困るぞ、と日向は言った。 しかし。優しく抱きしめて唇を合わせてくるその反応は予想通りで――少し卑怯なやり方だったかもな、と日向はぼんやりと思った。 「…ん…」 互いに舌を絡め合う。燃えるような溶けるような、本能の予感。 相手の興奮を感じる息遣いが、更に自分を高めてゆく。 ほとんど全てのことは、邪魔な理性と共に思考から追い出されていった。 *** 一糸まとわぬ姿にシーツを手繰り寄せてベッドの上に座った日向の背を、提督の指が背を撫ぜる。 「ここにも傷がある。本当にたくさんあるね」 無神経といってもいい言葉だったが、全く気にはならなかった。人徳故か、はたまた――惚れた弱みか。 「正面も。見ていい?」 囁くような声。断れるはずがない。 他の誰にも晒したことのない双丘を、熱意と好奇心に溢れた表情が見つめる。 最初はおそるおそるという風に、やがて大胆にやわやわと愛撫する提督の感触が、視線が、――たまらない。 「提督…あまり見られると、恥ずかしいんだが」 「…本当、可愛いな。日向さんは」 日向さん、というのは嫁になっても継続するつもりなのだろうか。 嫁、という単語が平然と脳内に現れたことに、自分で軽いショックを受けていると―― 「…んぁっ」 色づいた左胸の先を、指先がぴんと跳ね上げた。痺れるような感触が頭頂を突き抜け、おかしな声が漏れる。 「て、提督、そこは…ぁ…」 意外にも無骨な指が、しっかりと日向の感じる場所を捉え、甘く切ない感触を脱力するほどに伝えてくる。 右乳房の下から先端までを爪先でなぞられ、総毛立つ感覚に思わず背を反らし、短い髪がふるふるとうなじを撫で擦る。 脇のあたりからちろちろと攻めてきた提督の舌先が、これまでに経験のないほど固く屹立した日向の乳首を掠め、焦らし、 「ぅあぁぁっ!」 ――それをついに咥えられ口中で転がされた瞬間、日向は快楽に一際高く啼いた。 「あっ、あ、はっ…あぁぁ…っ」 指が腰をなぞり、首筋に触れ、髪を撫ぜる。 そのたびに発せられる、刺激と快楽をねだるような、みだらな雌の声。 快楽に喘ぎながら、次々に女を目覚めさせられる自分。 ――伊勢には見せたくない姿だな、という思いがちらりと頭を掠めた。 *** 「あっ?!」 全身に及ぶ愛撫にくったりと力も抜けきった頃、その手が唐突に、片方の膝裏を持ち上げた。 とろとろに熱く焦らされてしまった秘肉に、指先が触れてくる。 「ここも、綺麗だね…日向さん」 「やだ…ぁっ」 つぷ、とさしたる抵抗もなく、濡れた谷間に提督の指が第一関節のあたりまで浅く埋まった。日向の身体がびくりと震え、それにもまして心が期待し、逸る。 ゆっくりと襞を押し開き、狭い膣内の壁を味わうように、心地よいそれが自分の中をなぞり、抜かれ、――再び、今度は根本まで、深く、深く。 「――くっ、あっ、あっ、」 半身を寝床に押し付けて、高く開かれた脚をわななかせながら、自分の性が、反応が、くちゅくちゅと隠微な水音を寝室に響かせる。 「や、あっ、それ、気持ちいい…気持ちいい、ていと…く…っ!」 片足を抱えられたまま、指先を出し入れされ、肉芽をぬるぬると摘まれ、もはや理性など欠片も残っていない。 シーツを握りしめた左手に、更に力が入る。 「そろそろ、いいかな…少し、痛いかもしれないけれど」 こんな疵物の身体でも、欲してくれるのか。――愛して、くれるのか。 得体の知れない温かさが、腹の中から上がってくる。 好きだ。繋がりたい。――このひとと。 「いいぞ…乱暴でも、激しくても……思うように、愛してくれ。提督」 開いた両膝を立て、両手を伸ばして誘い入れる。提督が、日向の白い身体に覆いかぶさる。 「――うっ、くっ…」 熱くて固いそれを自分の中に受け入れた瞬間は、かすかな違和感と痛みに呻いたが。 「日向…さん…」 「大丈夫だ…もっと、奥まで来てもいいぞ」 やがて獣のように足を絡ませ、互いに自分からくねる腰を打ち付け合い、唇を合わせ、互いの体温を感じて、 「…っ、ふぅっ、うぁ、ぁっ…」 ぬちゅ、ぬちゅ、と巨きくて温かいそれが胎内をこするたび、これまで想像もしたこともない、痺れるような快楽が背筋を駆け上り、 「提督、もう、ダメだ、き、気持…よすぎ…、う、あぁん――!」 「っく…日向…さん…ッ!日向さん、日向さんっっ!」 やがて最高潮の快楽が、びくびくと提督の自身を震わせ、精を自分の中に放たせた瞬間―― 呼吸すらも続かない悦楽の中。 日向は、幸福とは何かをはっきりと知ったような気がした。 *** 「――好きだよ、日向さん」 「私も――と、言ってやればキミは満足するのかな」 結局、何度身体を重ねただろう。心地よく火照った頬を、彼の胸に押し付けた形で呟くような睦言を交わす。 「病めるときも健やかなるときも、真心を尽くすことを誓いますか?」 「それはもう、昼に誓うと言ったろう。私は」 「中破状態での無理な進軍は、今後しないと誓いますか?」 「――あのな。私は戦艦だぞ。武人だ。攻めるべき時に生命を惜しんでは――」 「誓いますね?」 もう君一人の身体じゃないんだよ、と提督は言った。 その言葉に秘められた意味を悟り、日向には言い返す言葉はなかった。 「ま、その時は秘書艦としてそばに居てくれればいい。君がどう思ったとしても、殺気立ったみんながきっと、君を戦場には立たせてくれないだろう」 「それは――なんだかくすぐったいな。この私が、守られる側になるなんて」 それこそ、想像もしなかった未来だ。 しかし自分はもう、その道を選んでしまったのだ。 「分かった。誓うよ。――それで、キミは何を誓ってくれるんだ?私だけってことはないだろう?」 「取っ組み合いの夫婦喧嘩は、一生しないと誓います」 日向はまるで少女の頃のように、声を上げて笑った。 「さて、…そろそろ離してくれ。朝の修練に行く時間になってしまった」 駄目ー。と、普段の姿からは想像もつかないような声でぎゅっと自分を抱きしめた提督の姿に、思わず眉間が寄った。 「こら。こんな甘えた男を、旦那にしたつもりはないぞ」 やだー、と同じ声が応える。こんな姿、他の艦娘が見たらどう思うだろう。 「それは命令か。提督としての」 「いいえ。愛する夫のお願いです」 「それなら――」 伊勢は正しかった訳か。 彼女の笑いが目に浮かぶようだったが――愛しい人と唇を合わせた瞬間、そんなことはどうでも良くなった。 これまでと殆ど同じで全く違う、新しい日々。 これからはこの幸福を、いつまでも続けるための努力をしてみようか、と日向は思った。 (End.)
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110 :スターリン ◆Z/sQtK.huo:2014/05/27(火) 21 11 36 ID jVXT24YQ 一応トリップつけました 管理人の人にはどのレスが同じ人か見えるんですよね? 基本書き捨てなんで つけないことにしてるんですが 長門が戦艦棲姫の服を着る話の続きです。 島風です。黒いです。ちょっと凌辱ものかもしれません 吹雪篇 1. 「吹雪、“指輪”は君に受け取ってほしい。俺の礼節をすべて君に捧げる」 吹雪は感極まっていた。何度もこの光景を夢見ていた。立ち上がった彼は、不安そうに縮こまった吹雪の手を取った。 「君だけが特別だ」 抱き寄せる彼に、吹雪はおずおずと身を預ける。提督の手が肩を抱き、もう片方の手が、吹雪の頭を胸元に寄せる。 そうすると、小柄な吹雪はすっかり彼に抱きしめられてしまった。ずっと夢見た場所にいる。吹雪の頬は自然と緩んだ。 彼の胸元に顔を埋め、吹雪は囁いた。 「大好きです、司令官」 提督の指が彼女の頬を撫で、唇をなぞった。吹雪は唇をОの字に開いた。吹雪は舌を指へ絡め、口へ侵入してきた指を嘗めた。 ごつごつした関節を舌でなぞると、かすかな汗の塩味を味蕾の上に感じる。 たちまち、吹雪の体の奥には火がともった。スカートの下で、太腿をこすり合わせる。瞳を蕩けさせた自分が、 淫らな表情を浮かべているとわかった。胸の頂が肌着を押し上げ、淡い草叢の奥が熱を持っていた。指が引き抜かれると、 唾液が名残惜しげに銀の糸を引いた。 吹雪の全身が、彼に蹂躙されることを求めている。引き裂かれ、焼き印を押すように所有物の証を刻まれるのを望んでいた。 そんな内心を見越したように、耳元で提督が囁いた。 「本当に?」 「はい。ずっと前から」 彼を見上げ、吹雪は尊敬と信頼のすべてを差し出した。提督は薄く笑った。古代エジプトの石像に見られる笑顔だ。 彼は片腕を上げ、明後日の方角を指さした。 「あれでも?」 促され、吹雪は陶然と彼を見上げていた目を、彼の示す方へ向けた。とたん、吹雪はかすれた声を咽喉から漏らした。 指先が指し示していたのは、神域だった。そこに集められた死体たちが蠢いている。深海棲艦も、人間の骸骨も、動いて、 叫んでいた。焼け焦げた空母ヲ級が泣き喚いていた。引き裂かれた戦艦ル級が、かつて美しかった自分を呪って噎び泣いている。 憲兵の腕章をした骨が手を伸ばして、助けを求めていた。 吹雪は腰が抜けて、死臭がしみついた砂へ尻もちをついた。震える彼女に、提督は無感情に訊ねた。 「これでも愛しているのか?」 吹雪は、自分の頬がいつの間にか濡れているのがわかった。恐怖に囚われ、彼女は泣いていた。咽喉が焼きついて言葉が出ない。 自分を見下ろす提督の前で、彼女は泣きじゃくった。震える手を伸ばすと、砂に掌をついて、吹雪は力なく平伏した。あてもなく 砂を見つめる目から、涙が何粒も落ちる。 答えなど決まっている。これさえ伝えられたなら、元の、心などない船に戻されても構わない。これさえ伝えられるなら。 「愛しています! それでも!」 それは自身に咎を認める叫びだった。 吹雪は顔を覆って泣き崩れた。月に照らされた死体たちが彼女の背信を責め立てていた。 2. ラバウル基地内には、艦娘たちの居住地区が設けられている。その一つ、吹雪に振り当てられた部屋のドアは閉じていた。 扉にかかっている名札をつまらなそうに眺め、ビスマルクは言った。 「あの駆逐艦はどうしたの? 具合でも悪いの?」 「ここんとこサブ島海域で忙しかったから、疲れが出たんだ」 扉の前に立った摩耶は、ぶっきらぼうに答えた。先日まで南方海域に出撃する艦隊の旗艦を務めていた吹雪は、 部屋にこもって姿を見せていない。摩耶は、吹雪を見舞いに来る仲間たちを宥め賺し、追い返す作業にあたっていた。 それを聞いて、ビスマルクと伊8は楽しげに視線を合わせた。 「やはり、提督が自らお作りになった私たちとは出来が違うわね」 「造物主様の役に立てないなんて、使えない」 摩耶は“妹”たちが見せる傲岸不遜で特権的な態度に我慢がならなかった。こんな連中が姉妹なのか? 自分もかつてこの様だったとしたら、なんて腹立たしいことだろう。摩耶は簡明直截に不快感を伝えた。 「失せろ」 ビスマルクは微笑した。 「ねえ、古い姉妹」 白い手が獲物を狙った蛇のように伸びた。細い指が万力のように摩耶の首を締め上げ、彼女をやすやすと持ち上げる。 摩耶は、うっ、と声を漏らした。息がつまり、摩耶の顔が赤くなる。摩耶を玩具のように引き寄せ、碧眼がぞっとするような 光を放って彼女を見つめた。 「私たちのエサにならないことを提督に感謝するのね。あなたなんか一撃よ」 ビスマルクは摩耶を床の上へ放り捨てた。したたかにタイルに打ちつけられ、つまっていた息が悲鳴になってこぼれる。 伊8が眼鏡の奥から害意に満ちた目を向けた。 「レイテ沖みたいにならないといいね」 伊8は摩耶の前世だった重巡洋艦が、潜水艦の一撃で沈められたことを嘲っていた。要するに、厭味だ。 咳き込む摩耶を見下ろし、ビスマルクは伊8に顎をしゃくった。 「行きましょう。楽しい深海棲艦狩りに!」 二人の艦娘は金髪を靡かせ回廊を歩き出した。軍靴の音を夢の中の音のように廊下に反響させ、二人は遠ざかっていった。 「提督に褒めてもらえるといいなあ」 「役立たずの妹は、私たちの餌食となる定め。気をつけるのよ」 壁に手をつき、摩耶は息を吸い込んだ。これも艦娘になった弊害の一つだ。船でいた時は呼吸なんかする必要もなかった。 わざわざ相手の出方を伺う必要もなかった。だが、やれやれ、最悪の事態は過ぎたぞ。まだ靄のかかった頭でそう思った。 連中、吹雪に興味を失くしやがった、少なくとも当分の間は―― 立ち上がりながら、摩耶はドアを叩いた。 「悪い、吹雪。ちょっと入るぞ」 はたして部屋の主は、ベッドの上で体を起こしていた。先程まで魘されていた彼女は、顔を覆って泣いていた。 摩耶は顔をしかめ、吹雪の傍らに腰を下ろす。 「大丈夫か?」 「嫌な夢。ひどい」 「無理もないか……」 摩耶はベッドのそばに座り、吹雪の小さな手を握った。 「海軍省に手紙を書いた。近く乗り込んできて、憲兵がいなくなったことについて始末をつける筈だ」 「もう出してしまったの?」 「当たり前だろ」 吹雪の声に咎める響きを聴き取り、摩耶は驚いたように言った。 涙に濡れた目で摩耶を見上げ、相変わらず吹雪は摩耶を驚かせるようなことを訊ねてきた。 「摩耶。司令官が好き?」 摩耶は唇を引き結んだ。 しばしの沈黙ののち、彼女は気まずそうに答えた。 「……好きだよ」 「私、司令官のためなら何でもできる」 吹雪は苦しそうに目を閉じた。 3. トラブルが持ち上がったのは、すぐ後だった。 南方海域に出撃したのは、長門を旗艦に、ビスマルク、伊8、加賀、木曾、それに建艦した島風だった。出撃メンバーの名を 書類に書き入れた提督は、執務室の扉を叩くノックに、事務的な声で入室許可を出した。ドアを開けて出てきた艦娘の顔を見ると、 彼はペンを止め、呆れた声を出した。 「島風。まだ行ってなかったのか?」 「提督……」 ドアを閉めた島風は、普段の明るい様子はどこへやら、居心地悪げに身を縮こまらせていた。ドアの前に立ったまま俯いているので、 ウサギの耳は触角のように前を向いて震えている。そんな彼女に提督が疑問を抱く前に、島風は顔をあげた。 いつもの笑顔を浮かべている。 「……造物主様。キスして」 「皆を待たせてるのか? 仕方のない奴だ」 提督は嘆息して立ち上がった。 背伸びした彼女に、軽く唇を合わせる。島風は提督の胸元をつかんでいた。提督が顔を離した後も、彼女はその手を離さない。 「続きは帰ってからしてやる」 「ダメ! 我慢できない」 島風は提督に縋りつくと、若木のような太腿や胸を彼に押しつける。それは幼かったが、男心をそそる仕草だった。 「仕方のない奴だ」 島風に後ろを向かせると、提督は彼女を思い切りドアに押しつけた。島風が悲鳴を漏らすのを聞くと、嗜虐心がズボンの中で 鎌首を擡げる。スカートをつかみ、提督は下着ごと彼女の服を力任せに引きおろした。下半身を晒されると、島風は、 いつになく体を強張らせている。彼女の耳元に口を寄せ、提督は囁いた。 「どうした? ずいぶん今日は固まってるな」 充血した自分を取り出すと、提督は島風の尻に押し当てる。すぐに目的の場所を探り当てる。島風は、ひっ、と呼気をこぼした。 提督はそんな彼女を一気に貫いた。島風は押し殺した叫びをあげた。彼女の奥深くまで自分を埋め、提督は眉をひそめた。 島風は、壁に顔を押しつけて泣いていた。振り向いた彼女の顔は涙に濡れている。 「嬉しい」 囁くと、島風の整った顔はさらに溢れた涙で濡れた。 「嬉しい、提督……大好き……」 泣きじゃくる彼女に、提督は眉をひそめた。 だが、他の艦娘たちを待たせていることを考えると、提督は事務的に対応した。島風の細い腰を押さえつけ、思い切り中を抉る。 いつも彼の作った島風が悦ぶように、熱くなった自分で好き放題に彼女の中を掻き回した。島風は黙って提督の動きを受け入れていた。 小柄な島風を犯すのは、年下の少女を弄んでいるようで冒涜的だった。唸り声一つ、提督は彼女の中に劣情をぶち撒けた。 島風はずるずるとドアの前に崩れ落ちる。 服を乱したまま蹲った彼女は、まるで凌辱された後の様だ。 提督は格好を整えると、彼女が脱ぎ捨てた装備を集め始めた。そして、彼女が自分の言いつけを守っていないことに気付いた。 「島風。ソナーを積んでないぞ。対潜水艦装備をしとけと言ったろう」 島風は無言のまま服を整えている。 提督は眉をひそめた。そして、建艦された島風がつけていないはずの装備ばかりつけていることに気付くと、提督は腕を伸ばし、 彼女の手首を捕まえる。島風は逃げ惑うように彼から顔を背けた。 「……お前は……」 提督は震える声を絞り出した。 「……君は、最初の島風か」 南西海域で彼と出会った島風は、彼から目を背けた。彼女の内腿を、紛いようのない破瓜の血が流れ落ちていった。 艦隊帰投を告げる明るい声が響き渡ったのはその時だった。 「お父様。艦隊が帰投した」 「提督! 帰ったよ!」 長門の愛情に満ちた声に、建艦された島風の自信に満ちた声が重なった。 執務室に一番乗りで入って来ると、建艦された島風は提督に駆け寄ろうと視線を巡らせ、彼の姿を発見する。 「造物主様! 何して……?」 建艦組の島風の声は、小さくなって消えた。 彼女の瞳は、提督に手を取られ、力なく俯くもう一人の自分にくぎ付けになっていた。 提督が何か言うより早く、建艦された島風は状況を察した。顔を強張らせ、もう一人の自分につかつかと近寄ると、 止める暇もあらばこそ、島風の頬を思い切り張り倒す。自分と瓜二つの少女が床の上に倒れると、建艦された島風は、 姉妹たちに振り向き、怒りに満ちた声を張り上げた。 「みんな! このドロップ組、私のふりして造物主様と!」 「やめろ!」 115 :スターリン ◆Z/sQtK.huo:2014/05/27(火) 21 16 20 ID jVXT24YQ 鋭い声が雷霆のように轟くと、建艦組たちは一斉に彼へ跪いた。彼女たちにとって提督の言葉は神託だった。 そんな彼女たちに目もくれず、提督はドロップした島風に向き直る。彼の顔からは血の気が引いていた。 屈辱にまみれ、島風は蹲ったまま泣いている。彼女の前に膝をつき、提督は震える手を伸ばした。 「島風」 「提督……あなたは、ひどい」 手が触れる前に、島風は提督を見上げた。その声に咎める色はない。 「誰のことも大切に思ってない。私たちはあなたに愛してもらえない……あなたの作った艦娘も、 誰か一人が選ばれたわけじゃない……あなたは、誰も大切に思ってない」 彼女は淡々と続けた。 「提督はひどい……みんな、口に出さないけど、そう思ってる……」 もう部屋には、騒ぎを聞きつけた艦娘たちが集まってきていた。島風をしばらく見つめ、提督は立ち上がった。 無言のまま、彼は二人を見ていた艦娘たちに視線を巡らせた。金剛は目をそらした。彼女は普段の天真爛漫さを置き忘れてきたらしい。 提督は他の艦娘に目を向けた。皐月は、利根の陰に隠れてしまった。他にも何人かが提督の目から隠れた。 彼は言った。 「吹雪」 途中からドアの陰に隠れていた吹雪は、電気に打たれたように硬直した。そして、ふらふらと 指令室に足を踏み入れる。ぎごちなく、提督の前へ歩み出る。逃げ出したかった。だが司令官が自分を呼んだのだ。 当然ではないか? 提督は訊ねた。 「今、島風が言ったことは本当か?」 吹雪は答えようとした。だが、息がつまって声が出ない。唇が震える。冷静な声が出せない。叫び出しそうだ。 吹雪は声を出そうと努力した。だが、声がどうしても出てこない。目をいっぱいに開いて、吹雪は提督を見つめた。 彼女は口を開きかけ、そして吹雪と同じ感情を抱いている艦娘たちがそうしたように、結局、足元に目を落とした。 吹雪の視界には、提督の靴だけが映った。 「そうか」 静かな声に、吹雪は罪人のように目を閉じた。 そっけないとすら思える声が落ちた。 「許せ」 4. 「お父様がドロップ組ごときに『許せ』などと!」 「標的艦! 鈍間のあんたが旗艦だったから帰投が遅れたのよ!」 「出来損ないのドイツ艦が! 貴様が何度も外して戦闘が長引いたからだ!」 「私たち高速艦だけなら、さっさと帰投して妙な真似をさせなかったのに!」 建艦組たちは、部屋の外で耳に堪えない罵り合いを続けている。長門も、ビスマルクも、姉妹に向かって悪罵の限りを尽くしていた。 提督が部屋から出てきて、彼女たちに責任はないと保証するまで続けるだろう。椅子に座った提督は目を押さえた。 疲れ切って、彼は息をついた。 「さぞ軽蔑してるだろうな」 部屋の中、彼の傍らにいるのは吹雪だけだった。吹雪が何も言えずに佇んでいると、若い軍人は目を閉じた。 「少し眠る。寝つくまででいい。近くにいてくれ。後は放っておいて構わない」 「司令官……」 吹雪の声には、彼女自身も驚くほどの気遣う色があったが、提督は目を閉じたままだった。 吹雪は自分が泣きそうになっているのに気づいた。咽喉が焼きつきそうだ。このまま帰ったら、二度とチャンスはない。 彼女は決断した。用心深く距離を詰める。吹雪は規律正しく直立した。 「司令官。いつだったか、私にすべての礼節を捧げてくださるとおっしゃいました」 「言ったね」 言質を得た。 「では、こうすれば、私に尽くしてくださいますね」 小さな体が、軽やかに、風のように提督の上に乗った。彼が目を見開いた時には、吹雪の唇が重なっていた。 鼓動を確かめるように、小さな手が彼の胸に添えられる。その手は静かに、弱い力で彼の服を握りしめ、手放そうとしなかった。 吹雪は目を閉じたまま、押しつけるだけのキスを味わった。小説や恋の歌が謳うような、接吻の味は全くなかった。 否。 罪の味がした。 名残惜しげに唇を離すと、提督は茫然と吹雪を見つめていた。吹雪は悲しくなった。瞳に映った自分はひどいものだった。 切羽詰まって、何か言いたそうで、何も言えずに彼を見ている、ただの小娘。提督は苦しげに顔を歪めた。 「君は卑怯だ」 目をそむけ、彼は非難するように言った。 「俺が逆らえないと知ってたな」 「はい。知っていました」 吹雪は微笑した。泣きながら。 「私、司令官のことが大好きですから」 das Ende/koniec/конец/おわり +後書き 118 :スターリン ◆Z/sQtK.huo:2014/05/27(火) 21 22 40 ID jVXT24YQ 母港が一杯なのにレア艦がダブると微妙な気持ちになります あ、次でこのヤンデレ艦娘シリーズ終わりです まとめていただいた方、ありがとうございます 以下、どうでもいい話です 例の人によると俺は色々なことをしてるそうで 全然身に覚えがなくて段々笑えてきました 他のスレでこの名前を見たことある人はご存知と思いますが ダメだったら素直に帰れと言われるか完全スルーのどっちかで まあ、それが本来の形だと思います 以上、どうでもいい話でした これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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私はいま、人生最大のピンチを迎えていた。 まず私のことを順不同に解説すると、男、小太り、薄い頭髪、ブ男、童貞、提督、となる。 外見から想像される通り、これまで女性に好意的な視線を向けられたことも、手を握ったこともない。 それは仕方ないものとあきらめていたから、勉学に励み、士官学校を優秀な成績で卒業した。 軍人になったのは、女性という苦手な存在に極力関わることなく人生を送れると思ったからでもある。 そんな私がなんの因果か、女性ばかりの……そう“艦娘”の指揮官として鎮守府に配属されたのは、 まさに皮肉というほかなく、着任以来私自身もたいそう肩身の狭い思いをしていた。 任務に支障はないが、艦娘たちにどう接していいかわからない。 彼女らにしても時折、通路の陰などから私をちらちら見ては、ヒソヒソと言葉を交わしたりする。 おそらく、私の視線がいやらしいだの、足が臭いだの……まあそういうネガティブな感想だろう。 あるいはもっと若くてイケメンの提督がよかっただの話しているのかもしれない。 ……いや、彼女らはいい子たちばかりなのに、ついそう卑屈に考えてしまう自分がイヤになる。 もちろん、美しい彼女たちに内心、男としての劣情をおぼえないといえば嘘になるが、 私のようなブ男が女神のような艦娘らにふさわしいとは到底思えなかったし、 第一職場恋愛などもってのほかだから、そんな期待など心の片隅にも置かなかった。 そんな私の前に、いま、 「て、提督……んっ、これでよろしいでしょう、かっ……?」 秘書艦の扶桑がひざまずき、醜い肉の棒に桜色の舌をけんめいに這わせている。 その瞳に服従と恐怖、あきらめ、そしてわずかばかりの期待をにじませて。 どうしてこうなったのか、私にもわからな……いや、わかる範囲で説明させてほしい。 ……頼むから。 * * * * * 「あの……その、提督……お話が、あります」 どこか思い詰めた瞳で、扶桑が私の執務机の前に立ったのは数十分ほど前だろうか。 なんだろう、またボーキサイトでも尽きたか……と想像を巡らせたが、次の言葉は予想外にすぎた。 「私が、私がなんでも言うことを聞きます。ですから、山城にだけは手を出さないで下さい!」 「……は?」 思わず、万年筆を湯呑みの中に取り落としそうになって、彼女の顔をまじまじと二度見した。 憂いを湛えた美貌、口元が悲壮なまでの決意にきっと結ばれている。 「ええ、存じております。提督がその獣欲を、今度は私の大切な妹に向けていることは……!」 「まてまて待て、ちょ、ちょっと待ってくれ!」 獣欲ってなんだ。いや、そもそも「今度は」ってなんだ。なにもかもが寝耳に水である。 だが私の疑問を待ってはくれず、彼女はその薄幸そうな目尻からはらりと涙をこぼした。 「ええそうです、提督の脂ぎった肉体に溜め込まれた性欲ときたら、まるで飢えたオークのごとく……。 立場を利用して次々と艦娘を脅迫し、毒牙にかけ、その肢体をむさぼって飽き足らず、 常に新たな生贄を血走った眼で探していることは、今や鎮守府の皆が知っています……っ!」 「いや、その、あの、え?」 「でも! 命よりも大切なたった一人の妹艦……山城の花が無惨に散らされるくらいならば、 私が代わりにこの身を挺しようと、そう決心して、死ぬ思いで私はっ……!」 「えーと、扶桑? 扶桑さん? 聞いてます?」 なんだか思い込みの世界に入ってしまった彼女には、私の困惑する声など届いていないようだ。 それにしてもひどい誤解もあったものだ。だいたいオークって何だ、太ってるからってあんまりだ。 「だからその、とんでもない誤解があるようだから……ちょっと落ち着いて話し合おう、な?」 「……ええ、わかっています。代わりに私が、こうするしかないと……!」 「いやだから話を聞……うわっ!?」 いきなり、そのすらりとした肢体が、呆然と座る私の股ぐらに倒れ込んできた。 あのとんでもないボリュームの艤装を展開したままだったら、潰されて死んでいたかもしれない。 硬直している隙に、彼女にたどたどしい手つきで軍服のズボンの前を開けられてしまった。 「ああっ……お、大きいです、この凶悪なものがみんなを責め抜いたのね……っ」 いい匂いの黒髪が股間をさわさわ撫でるのだから、大きくなるのは男として不可抗力である。 とはいえ断じて、そんな幸せな用途に使ったことは一度もないムスコなのだが……。 「わっ私、はじめてでうまくできるか解りませんけど、精一杯ご奉仕しますので、どうかっ」 「だ、だからね、さっきから言ってるが私の話も……うっ!?」 温かくぬめる口内に勃起したモノが捕らえられ、おずおずと扶桑の舌が這い回る。 それはきっと稚拙な愛撫なのだろうが、私にとっては初めて経験する天上の快感だ。 情けないことだが、抵抗しようとする力が抜け、彼女に身を任せてしまう。 「ん、ふぅっ……て、提督の、とても大きくて、熱くて……あふ、れろろっ……じゅぷっ……! はぷっ、どうで……しょうか、私のご奉仕で、ご満足いただけているでしょうか……?」 「あ……いや、その、待てっ……やめっ……!」 とろけるような快楽に流されそうになりながら、必死で理性をつなぎとめて誤解を解こうとする。 ……だが、その静止は扶桑にとっては、何か私の機嫌を損ねたと映ってしまったようだった。 みるみるその顔が蒼白になり、今にも自殺せんばかりの不幸オーラをまとわせ始める。 「わ、私なにか粗相をっ……!? ああっすみません提督っ、私はどうなってもいいですから、 山城には……! 縛り&吊るし極太バイブ責め二穴調教フルコースだけはご勘弁をっ!」 「いやだから何それっ、ううっ!?」 突然、じゅぼじゅぼと品のない音まで立てて、黒髪を振り乱し、一心不乱に顔を前後させる扶桑。 ――どうやら私を満足させないと、妹がひどい目に遭うと思い込んでいるらしい。 たどたどしい(といっても私も経験がないので想像に過ぎないが)行為とはいえ、 彼女の美貌がそうして乱れる背徳的な光景は、肉棒に与えられる快楽と共に私を追い詰めていく。 「は、離れてくれっ、このままじゃ出てしまっ……」 「んぶっ、えうっ、ぷあっ……はっはい、言いつけ通り提督の精液っ、すべて飲みますからっ!」 「誰もそんなこと言ってな――くぅうっ!?」 「ッ!? っぷ……んんっ……! んぅぅぅっ……んっ!」 たまらず、びゅるびゅると注がれる私の白濁したものを、扶桑は口を離そうともせずに受け止める。 その細い喉がこくこくと動くさまを、私は魂が抜けるような射精感の中で呆然と見ていた。 * * * * * 「い、一体なんだったんだ、あれは……まだ夢でも見てるようだ……」 ようやく扶桑を部屋から閉め出して、私は大きく息をついた。 彼女ときたらあの後も私の話をまるで聞かないどころか、今度は衣服を脱ごうとし始めたので、 このままでは埒が明かない以上に、取り返しのつかない結果になりかねないと考えての緊急避難措置だ。 しかし、私に対するあのとんでもない誤解、出所は一体……。 「いや~、見ちゃいました! ついに現場を押さえましたよ、司令官っ!」 「うおっ!? ……あ、青葉っ!?」 タンスの中からメモ片手に出現した、鎮守府きってのゴシップ屋(ずっと潜伏していたのか?)。 そのにやにや笑いを見て、ようやく私の中ですべてに合点がいった。 「……おまえかっ、根も葉もない噂を流したのは!」 「ええ、そのとーりです。いや~、さすがに気付きますか」 「気付かいでかっ!? お前、どういうつもりだ!?」 うら若き娘が、好きでもない私にあんな……身を捧げかけるところまでいってしまったのだ。 悪戯にしても度が過ぎると、さすがに怒り詰問しようとするが、青葉は余裕の表情で指を振る。 「違いますよ司令官。これは扶桑さんや、この鎮守府のためなのです」 「!? それはどういう……」 「いいですか司令官。いくら不幸慣れしてて妄想癖のある扶桑さんとはいえ、 山城さんに裏をとったわけでもない不確定な情報で、自分から身を捧げようとするでしょうか?」 ……そう言われると、確かにいくらなんでもそうかもしれない。 だが、ならなおさら一体。 「私たち艦娘だって女の子です。そして女の子にも性欲はあるもので、 それでもって女性心理ってヤツは時に複雑なものでして。 男の人に支配されたい、荒々しく散らされたい、汚されたい……って思うコは、案外いるんですよ? 扶桑さんなんかはまさにそれ……まあ、ぶっちゃけマゾですしね、あのひと」 それは、扶桑が内心望んで私にあんなことをした、ということなのか……? 女性の心理というやつにはまるで縁がない私にとって、青葉の言葉はすべてが予想外だった。 「いや、それにしたってだよ、こんな私をわざわざ相手に選ぶなんて……」 「まあ言っちゃなんですがこの鎮守府で、他に出会いもありませんしね……って、あはは、冗談ですよ」 私を励ましているつもりなのか逆なのか。 「司令官はどう思ってるか知りませんが、仕事はできるし誠実だしで、 みんな司令官のこと尊敬してるんですよ。てか、心底嫌ってる相手にあんなことできませんって」 青葉の説明によると、一部の艦娘は内に性的な欲求不満を(それこそ前世から)抱え……そして、 それを自覚しているわけではないから自分から解消することもできない。 だが、きっかけがあれば別だ――と。 「それが、私がケダモノのように彼女らの体を欲しているっていうお前の流した噂だ、と?」 「はいです。そして姉妹艦や同僚を守るって大義名分が決定打になってようやく思いを遂げ、 鬱屈した性欲は満たされて今後の任務にも身が入り、鎮守府も万々歳ってわけです」 「……………………」 「だからですね、さっきフェラだけで終わっちゃったのは扶桑さんに可哀想ですよ~? 今度はちゃんと最後までしてあげてくださいね。彼女好みに、ちょっと乱暴に」 「……それが全部、お前の思い込みじゃないって根拠は……」 「そりゃ、青葉の目は確かですからね! 優れた記者にかかれば真実は一目瞭然です! いいじゃないですか、皆さんの欲求を満たせる、司令官も気持ちいい、で一石二鳥でしょう?」 彼女の言うことが本当だとしたら……いや、朴念仁の私なんぞより同じ女性の心理を理解しているだろうし、 第一彼女なりに仲間たちの幸せや鎮守府のことを考えているのは、私の見るところ確かだ。 おもしろがっている部分はあるにせよ、根拠のない計画というわけではないのだろう。 しかし、かといってそれでいいのだろうか……いや、男としては喜ぶべき所なのかもしれないが……。 「部下に期待された役目を果たすのも、提督たるお方の務めですよ? ……おっと、さっそくまた別の方が来たようですね。それでは頑張ってくださいっ!」 呼び止める間もなく、しゅたっと敬礼して窓から身軽に出て行ってしまう青葉。 入れ違いに、執務室の扉がためらいがちにノックされた。 「……提督。私だ、長門だ……折り入って、な、内密に話があるのだが……」 どうやら、青葉の見立ては正しかったらしい――。 * * * * * それからというもの、私の新たな“任務”は大いに忙しいものとなった。 「うぁあっ!? せ、世界のビッグ7たるこの私がっ……こ、こんな屈辱的な格好でっ……! だっだが、これは陸奥を、そう陸奥を守るためっ! 私は耐えて……んぁ、ひううぅっっ!?」 「うぐ、長門っ、そんなに締め付けると、出っ、出るッ!」 「あ、熱いっ……!? ああっ、私の中で、脈打って……そ、そんな、まだこんなに大きく……!? なんて荒々しい、若い獣のような性欲……で、でも私が、陸奥のかわりに全部受け止めなければ……」 (……まあ、そりゃこの年になるまで経験がほとんどないというか、さっきまで童貞だったからなあ) * * * * * 噂が部分的にでも真実になった今、まあ次から次へと――。 「今度こそ大和を守るためとはいえ……こんな、お、お尻の穴なんかをッ……ぁうっ!?」 「(なるほど、確かにここが弱いんだな……って、毎回思うがどこで調べてくるんだ、青葉のヤツ) 『ぐふふ、そうは言っても矢矧、おまえのケツ穴は私の指をキュウキュウ締め付けてくるぞぉ』」 「ひっ卑怯よ提督っ、んぉ、ぜっ絶対負けな、まけなっ……あっああっっ!?」 (それに、渡された“台本”に書かれてるセリフ読んだ方が反応がいいのも、複雑な気分だぞ) 「んぅっ、ふぅぅうっっ、ひあぁっ!? ご、ごめんなさい大和っ、わたし、私お尻でぇぇぇっ!」 * * * * * やってくる中には、年端もいかぬ駆逐艦や――。 「クッ、このロリコンのド変態ッ! あたしみたいな駆逐艦にっ……ひっ、ひぅぅっっ!? いやっ、そんなとこ舐めな……ひぁぁぁっっ、やっやだぁぁぁっっ!?」 「(まだ固くて狭いし、万一傷でも付いたら大変だからな、丁寧に愛撫してやらないとな) 『ぶひひ、未発達な穴を舐めほじくるのはこたえられん快感よなあ、どうだ霞ぃ?』」 「へっ変態っっ、ド変態っ、卑怯者のクズッ……! あぁ~~~~~っっ! やっああっ、何かきちゃうっ! こ、こんなヤツにイカされちゃうよぉぉぉ!?」 (……どうでもいいが、いくらなんでも『ぶひひ』って笑い方はどうなんだ。霞も疑問に思ってくれよ) * * * * * 時には、複数まとめて来るような艦娘まで――。 「くっ、あたしと千歳お姉の胸、いつもいやらしい目で値踏みしてると思ったら……っ、 やっぱりこんなことさせる機会を狙ってたのね……っ! こ、このケダモノ!」 「耐えるのよ、千代田……! 提督には逆らえないんだから、こうやって、二人のおっぱいで……っ、 は、挟んで……しごいて、ずりずりって……おちんぽを、満足させないと……きゃあっ!?」 「ひっ、いやああっ、熱くて臭いのが顔中にぃぃ……よ、汚されちゃったよぉ、千歳おねぇ……!」 「かわいそうな千代田……綺麗にしてあげるわ、んっ、ちゅっ……れろっ……!」 (うーん、なんだか二人がいちゃつくダシにされてる気分だ、まあいいんだが――) * * * * * 「……つ、疲れた……あいつら毎日毎日、次から次へと……というか欲求不満の艦娘、多すぎないか……?」 「はい、精力剤入りのお茶です。いや~大した絶倫振りですねぇ、司令官」 机に突っ伏した私を茶化す青葉。すっかり、夜の任務における秘書艦といった貫禄だ。 「でも、言った通りだったでしょう? 皆さん、溜め込んだものを解消してあんなキラキラと」 「……確かに、任務にまでいい影響を及ぼすとは予想外だった。少しは報われたかもしれん」 「またまたあ~。司令官だって役得のハーレム状態で、嬉しいくせに」 「う……否定はしないが……」 確かに、一夜にして世の男たちが羨むような立場になったと思えば、 そしてどんな形であれ、鎮守府で皆とうまくやっていく結果になったと考えれば、 私は青葉に感謝してしかるべきなのかもしれない。 「それでは、明日も頑張ってくださいね司令官。明日やってくる艦娘は、このリストに――」 ……そして、私の中でもいささか変化があったようだ。 こうやっておどけて報告する青葉の瞳の中に、別の“色”を発見できる程度には。 「じゃあ私はそろそろ――え? し、司令官? この手はいったい……きゃっ!?」 「なあ、青葉……私とつるんでることがもし知られれば、お前は皆から責められる立場になるよな」 辞去しようとする彼女の腕を掴んで引き寄せ、耳元でささやく。 たちまちその耳たぶが真っ赤になり、ドキドキと高鳴る鼓動が伝わってくる。 「きょ、脅迫するつもり、ですか……?」 「どうとってもらっても構わない。だがこういう時、『どうすればいいかは分かるだろう?』」 青葉は視線を彷徨わせ、しばし悩む“ふり”をする。 私はこれまでになく落ち着いた気持ちで、彼女にたっぷりとその時間を与えた。 『部下に期待された役目を果たすのも、提督たるお方の務めですよ?』 ああ、まったく青葉の言う通りだよ。 (おわり)
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前ページ次ページメンテナンス情報 アップデート予告 アップデート内容 コメント タグクラウド 関連ページ アップデート予告 公式ツイッター より転載 次回の「艦これ」全サーバ群共通メンテナンス&アップデートは、今週水曜日【1/22】午前11 00より実施予定です。同メンテに伴うアップデートでは、「加賀」「鳳翔」「陸奥」追加ボイスの実装なども予定しています。どうぞ、お楽しみに! アップデート内容 公式ツイッター より転載 01▼航空母艦【加賀】追加&時報ボイスの実装 【加賀】に「補給」「放置」ボイスを追加、さらに【加賀改?】には「時報」ボイスも追加実装されました。全ボイス新収録です! 02▼戦艦【陸奥】及び航空母艦【鳳翔】追加ボイスの実装 改装(改造)後の【陸奥改?】及び【鳳翔改?】に「補給」「放置」及び「母港」ボイスの一つがそれぞれ追加/更新実装されました。 03▼軽巡洋艦【五十鈴】追加ボイスの実装 第二改装(改造)後の【五十鈴改二】に「補給」「放置」ボイスの追加に加え、新収録の「挨拶」「母港」「入渠」「出撃」「攻撃」ボイスがそれぞれ一つずつ、計7ボイスが追加/更新実装されました。 04▼UIの調整 細部修正で恐縮ですが、改装(改造)時のアラートメッセージの文字が見切れている箇所と、「北上改二]」「大井改二」のタッチ座標判定に不具合がある点を修正致しました。 05▼入渠時間の修正 先日投入された新艦娘「大鳳」及び「あきつ丸」の入渠時間の計算にバグがありましたので修正致しました。 「大鳳」…本来仕様より短い入渠時間だったのを仕様通りに修正 「あきつ丸」…本来仕様より長い入渠時間だったのを仕様通りに修正 申し訳ありません。 06▼新しい家具の実装 冬物関係の一部家具を更新し、下記の家具が投入されました。 【執務机】…低コストな提督の机です(再投入です)。※家具職人不要 【節分「豆まき」セット】…節分用の新家具です。※家具職人不要 【大人の節分セット】…少し大人な新家具です。※要家具職人 07▼チート対策の強化 通常のプレイではできない、利用規約や【ゲームルールを逸脱した方法】でプレイをされる方をトレースするシステムを強化しました。該当の方は戦闘時等の任意のタイミングで通信エラーでの遮断、及び任意のタイミングでアカウント停止等の対応となる場合があります。 コメント 最新の30コメントを表示しています。 名前 コメント すべてのコメントを見る タグクラウド 艦娘 駆逐艦 軽巡洋艦 重巡洋艦 戦艦 装備娘 軽空母 睦月型 建造 潜水艦 朝潮型 球磨型 長良型 正規空母 特型駆逐艦 開発 千歳型 妙高型 暁型 川内型 吹雪型 高雄型 最上型 金剛型 伊勢型 白露型 小口径主砲 大和型 阿賀野型 陽炎型 航空戦艦 翔鶴型 祥鳳型 期間限定海域 装備 天龍型 利根型 飛鷹型 青葉型 大口径主砲 水上機母艦 扶桑型 応急修理要員 長門型 古鷹型 艦上戦闘機 間違った報告を入力したので消去 巡潜3型 任務 遠征 イオナ 綾波型 霧 三式潜航輸送艇 巡潜乙型 家具 ぷらずま 海大Ⅵ型a 巡潜乙型改2 島風型 魚雷 天城型 夕張型 中口径主砲 誤ったコメ投稿をしたため削除 関連ページ ▼wikiレンタル代価広告
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【高ランクの兵裝を開発するため、鎮守府ではそれぞれ担当する艦による作業が日々続いている】 【開発は、専用の“砲”を股間に有する艦娘による、担当艦への受精着床行為―――種付けによって行われる】 【砲/砲弾開発】 「ふむ、今日の相手は金剛四姉妹か。よろしく頼む」 「はいこちらこそ、長門さん。じゃあまずはマイク……じゃなくって、主砲のチェックを」 「ワオ、長くてぶっとい主砲デース! さすが世界のビッグ7ネー!」 「あ、あの……最初は榛名に……もう準備、できてますからっ」 「了解した。うむ、安産型の良い尻だ。性器の濡れ具合も良好だな、遠慮なく貫かせてもらおう」 「……ぁああっ!? ち、力を感じます! 長門さんのたくましい主砲っ、奥ずんずんノックしてます!」 「榛名ったら立ちバックであんなに腰振っちゃって、おとなしい顔してスミにおけまセンネー」 「くっ……いい締まりだ、そろそろ子種を流し込むぞっ! 子宮の準備はいいな!?」 「はっはい! 妊娠いつでもOKですっ! 榛名、頑張って強い装備いっぱい孕みますっっ!」 「ヒトフタマルマル、着床を確認しました……姉さんたち、次は誰が注いでもらいますか?」 「わ、私も負けません! 気合っ入れてっ妊娠しますっ!」 【艦載機開発】 「くっ、あふ、加賀さんの膣内、締まりすごいですっ……昨日の翔鶴さんや瑞鶴ちゃん以上かもっ……!」 「当然よ、五航戦なんかと一緒にしないで。それより由良さん、私は忙しいんだから早く終わらせて頂戴」 「(むっ)わかりました、はやく終わらせればいいんです……ねっ!」 「……っふぁ!? や、ちょ、ちょっと、今何か変な感覚が、ぁひっっ!?」 「いい声出せるじゃないですか。こうやって子宮の入り口、亀頭で小刻みに揺すられると凄いでしょう?」 「う、嘘っ、この私が、声我慢できな……いぃッ!? まっ待って、ちょっと止めっ……んひぃぃ!?」 「これされるとみんな私の単装砲、大好きになっちゃいますからねー。加賀さんもそうなっちゃって下さい」 「わ、私はそんな、こんなの好きになんか……(ぐりゅりゅっ)あぁーッ!? だっダメ、イッ……!」 「一緒に射精しますねっ、おふ、ふぁ……あぁあ! んおっ! でっ出てるっ、すごい量出てますっ!」 「あ、ああ……! ゆ……優秀な子たちを産むわ、期待しててちょうだい……」 【ソナー/爆雷開発】 「はーい五十鈴っち、力抜いてねー。ずぶずぶ~っといきますよー」 「んくっ……ふあ、北上さんの魚雷すごっ……! 一気に奥っ、こつんって当たって……あぁんっ!」 「あー気持ちいい、すぐイキそ。ところで五十鈴っち……ちょい見ないうちにずいぶん胸育ってない?」 「え、そ、そうかな!? ……って揉まないでぇぇ! む、胸とあそこ一緒にするのっ反則ぅぅ!」 「やっぱでかいってこれ。同じ改二なのに腹立つなー、今日は二回や三回の斉射じゃ許さないことに決定~」 「うっうそっ、そんなにされたら私、壊れちゃ、ぅうううううっっっ!? ひぃあぁぁーっ!」 「ふっ、食らいついたら離さない、それが重雷装艦の本領ってヤツよ……あ、やば、出る出る」 「くっ、なによあの女っ……! 北上さんの兵裝を妊娠するのは私なんだからね……!」 (つづかない)